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2019/12/06

<オピニオン>転換期の韓国経済 第118回                                                       日本総合研究所 向山 英彦 上席主任研究員

  • 転換期の韓国経済 第118回                                                       日本総合研究所 向山 英彦 上席主任研究員

    むこうやま・ひでひこ 1957年、東京生まれ。中央大学法学研究科博士後期課程中退、ニューヨーク大学修士。証券系経済研究所などを経て、2001年より(株)日本総合研究所勤務、現在調査部上席主任研究員。中央大学経済学部兼任講師。主な著書に「東アジア経済統合への途」など。

  • 転換期の韓国経済 第118回                                                       日本総合研究所 向山 英彦 上席主任研究員

◆経済の実態把握し、活性化につながる政策を◆

 最近、韓国経済が危機的状況にあるとの見方が増えている。たしかに、成長率の低下やディスインフレ、製造業の不振、若年層の就職難など、多くの問題を抱えているのは事実であるが、現在の状況は通貨危機やリーマンショック(08年9月)前の状況と大きく異なることに注意したい(表)。

 通貨危機前にみられた動きは、①財閥グループが内外から大量の資金を調達し、過剰ともいえる投資が行われたこと、②事実上のドルペッグ制度が採られていたこと、③経常収支が赤字であったことなどである。97年に入り中堅財閥が相次いで破綻し、金融機関の経営が急速に悪化したことが、通貨危機を招いた。他方、リーマンショック前は、経常収支はほぼ均衡していたが、短期対外債務額が外貨準備高の8割水準にまで増加していた(その要因については前回指摘)。


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