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2019/06/07

<オピニオン>曲がり角の韓国経済 第44回 日米首脳会談から学ぶところは?                                                     ニッセイ基礎研究所 金 明中 准主任研究員

  • ニッセイ基礎研究所 金 明中 准主任研究員

    キム・ミョンジュン 1970年仁川生まれ。韓神大学校日本学科卒。慶應義塾大学大学院経済学研究科前期・後期博士課程修了。独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て現在、ニッセイ基礎研究所准主任研究員。

◆転換期の外交力高める知恵や決断が必要◆

 米国のトランプ大統領が令和初の国賓として3泊4日間(5月25日~5月28日)に日本を訪ねた。トランプ大統領は訪日中に、皇居での天皇、皇后両陛下との会見、迎賓館での日米首脳会談、そして神奈川県横須賀市の海上自衛隊基地に停泊中の護衛艦「かが」への乗艦などの日程をこなした。米国大統領が海上自衛隊の護衛艦に乗り込んだのはトランプ大統領が初めてで、安部首相は日米同盟が強くなったことをアピールした。

 ただし、このような公式日程よりも注目されたのは国技館での大相撲観戦、千葉県の茂原カントリークラブでのゴルフ会談、六本木の高級炉端焼き店での食事会など朝から晩まで続いた手厚いおもてなしと、安部首相とトランプ大統領の二人の親密感を表すゴルフ場でのツーショットだろう。想像を超えたおもてなしに対して、「トランプ氏は観光旅行で日本に来たのか、安倍首相はツアーガイドなのか」という野党などからの批判の声もあったものの、マスコミが連日、日米両首脳の動向を競争して好意的に報道したおかげで、安部首相が今回取ったおもてなしに対する世間の評価はそれほど悪くない。

 一方、世界1位と3位の経済大国のトップ同士の蜜月に周辺国は動揺を隠せなかったに違いない。韓国のあるマスコミの論説には「もう、ゲームは終わった」とまでツーショットに対する感想を述べている。安部首相に対するトランプ大統領の態度が韓国の文在寅大統領との会談時とはまったく異なったからである。

 実際に、韓国の文在寅大統領は今年の4月11日にホワイトハウスを訪ねてトランプ大統領と会談を行った。しかしながら、実際の会談時間はたったの2分であったと報道されている。安部首相とトランプ大統領の会談が今回で11回目であることと比較するとあまりにも惨めな結果である。18ホールを回るゴルフ外交の時間が3時間程度であることを考えるだけでも、文在寅大統領の会談時間がどのぐらい短かったのかが分かる。

 ゴルフ外交は安倍首相の得意分野とも言える。戦後、米国大統領と日本の首相がゴルフをしながら会談(ゴルフ外交)をしたのは、安倍首相の祖父である岸信介のみ(アイゼンハワー大統領と1回)である。なのに、


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