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2021/05/21

<オピニオン>転換期の韓国経済 第135回                                                       日本総合研究所 向山 英彦 上席主任研究員

  • 転換期の韓国経済 第135回                                                       日本総合研究所 向山 英彦 上席主任研究員

    むこうやま・ひでひこ 1957年、東京生まれ。中央大学法学研究科博士後期課程中退、ニューヨーク大学修士。証券系経済研究所などを経て、2001年より(株)日本総合研究所勤務、現在調査部上席主任研究員。中央大学経済学部兼任講師。主な著書に「東アジア経済統合への途」など

  • 転換期の韓国経済 第135回                                                       日本総合研究所 向山 英彦 上席主任研究員

◆根本問題残る経済政策◆

 文在寅大統領は5月10日に就任4年目の特別演説を行った。その内容は総じて自画自賛と言えるもので、経済に関しては、各種指標の好転や民間雇用の増加、コリアンニューディールの推進などを示しながら、成果を強調した。しかし、経済指標の好転は新型コロナの感染拡大の影響で前年水準が大幅に低下した反動であることはいうまでもない。

 文政権の経済政策は今日まで、環境の悪化に伴い、なし崩し的に「現実的」になってきている。政権発足後の2017年7月に発表された経済政策はパラダイムのシフトをめざし、①賃金(所得)主導成長、②雇用を創出する経済、③公正な競争、④イノベーションを通じた成長が4本柱であった。特に力を入れたのは①と②で、公共部門を中心にした雇用創出、非正規から正規職への転換、最低賃金の引き上げなどを相次いで実施した。


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