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2023/04/14

<オピニオン>韓国企業と日本企業 第126回 韓国のインド太平洋戦略の狙いと課題    多摩大学経営情報学部・大学院経営情報学研究科 金 美徳 教授

  • 韓国企業と日本企業 第126回 韓国のインド太平洋戦略の狙いと課題    多摩大学経営情報学部・大学院経営情報学研究科 金 美徳 教授

    キム・ミトク 1962年兵庫県生まれ。早稲田大学院国際経営学修士・国際関係学博士課程修了。㈱三井物産戦略研究所を経て、多摩大学経営情報学部・大学院経営情報学研究科(修士・博士課程)教授。書籍14冊、論文・論考200本、三井物産向け戦略レポート300本、講演70件、テレビ・ラジオ出演多数。

◆国際的位相の向上や真の先進国への脱皮に繋げよ◆

 尹錫悦政権は昨年12月、「自由・平和・繁栄のインド太平洋戦略」の報告書を発表した。同報告書は、韓国初のインド太平洋戦略と位置付けており、9つの重点課題を提示している。韓国のインド太平洋戦略の狙いは何か。1つは、自由・平和で繁栄するインド太平洋というビジョンを追求する「グローバル中枢国家」としての新たな地域的役割を果たすこと。これまでの地域構想は、韓半島・北東アジア地域と経済・通商協力に限っていたが、今後はインド太平洋地域に視野を広げるのみならず、グローバルな課題についても積極的かつ戦略的に協力する考えを示している。例えば「台湾海峡の平和と安定」が、「韓半島の平和と安定」や「インド太平洋の安定と繁栄」にとって重要であると言及している。台湾海峡への言及は、台湾有事が韓半島有事を引き起こす可能性が高くなるため、米国の韓国防衛への関与度を高める狙いがある。台湾有事の際、在韓米軍が台湾に派遣されれば対北抑止力が低下し、その間隙を突いて北朝鮮が韓国に挑発しやすくなる。


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