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2000/12/08

<在日社会>逆境にめげずチャンスをつかもう

映画女優の金ユンジンさん、在日同胞へメッセージ

 先日、東京・江東区の東京ビックサイトで開かれた「韓日文化交流祭 コリア・スーパー・エキスポ」の関連行事である「日韓文化フォーラム」に、パネリストとして参加した女優の金ユンジンさん。

 10歳の時に韓国から移民として米国に渡り、「自分は何者か」と悩んだ経験を初めて語った。 在日韓国人の3、4世はもちろん、新規入国韓国人の子どもたちにとっても、自己を見つめる上で参考になる話だ。

10歳で渡米、アイデンティティークライシス

 今年日本で100万人以上の動員を記録し、大ヒットとなった韓国映画「シュリ」。南北分断をテーマにした同映画で、北朝鮮の女スパイ役を演じて一躍人気女優となり、日本でも注目を集めつつある金ユンジンさんは、10歳の時に家族が米国ニューヨークに移住した。
 多民族国家の米国で思春期を過ごした金さんは、在日韓国人の青年や、多くの移民家族の子どもたちと同じように、強烈なアイデンティティー・クライシス(自我同一の危機)に陥った。


 「米国で手に入る韓国の小説を読みあさり、韓国映画上映会や韓国映画のビデオを入手すると、可能な限り見続けた。韓国映画や小説に触れることによって、韓国人である自らのアイデンティティーを確立しようと努力した」と話す。
 演劇を志し、ニューヨーク芸術高校とボストン大学で演技を学び、英国留学してシェイクスピアを研究した後、米国に戻ってテレビドラマなどに出演していたが、自己回復の試みはずっと続いていたという。
 韓国人、そしてアジア人であることや、アジアと欧米との関係を探求するため、韓国映画や欧米の映画だけでなく、「羅生門」や「乱」など日本映画も多く見た。それによって「日本の映画文化に対しては、以前からいい感情を持っていた」。

 韓国のテレビ局のスタッフがニューヨークロケに来たとき、スタッフとして手伝ったのがきっかけで、韓国のテレビドラマへの出演を打診された。米国でのチャンスが少なかったこと、また韓国人である自分を再認識するために、韓国へ戻る道を選んだ。それがシュリの出演、人気女優の道へとつながった。

 日本での映画出演も実現、先日撮影が行われた。現在、日本語の勉強も始めている。また抜群の英語力を生かして、将来はハリウッドにも進出したいと考えている。ポジティブ(積極的)な生き方を常に求める。
 「今は女優の仕事が好きでたまらない。この職業を選んだ自分をほめて挙げたい。今後も女優という立場から、映画で韓日両国をつなぐ仕事をしてみたい」と強調する。

略歴

 1972年ソウル生まれ。10歳で米国移住。ボストン大学演劇学科卒業。ボストン大学演劇学科卒業後、ブロードウェーなどの舞台に立ってきた。「シュリ」で映画デビュー。新作「燃ゆる月」が韓国で公開中。