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2000/12/01

<在日社会>在日遊技業マルハン、映画産業に進出

 遊技業界最大手のマルハン(本社・京都市上京区、韓昌祐会長)が、映画産業に進出する。東京・池袋の映画館「文芸座」の事業を引き継ぎ、同地に「マルハン池袋ビル」を新設。今月12日、同ビル3階に「新文芸坐」をオープンすることになったものだ。オープニングの12日には故黒澤明監督の「七人の侍」を上映、その後も日本映画の名作を日替わりで上映する予定だ。

12日から日本の名作上映

 半世紀の歴史を持つ文芸坐は、名作映画の上映館として社会人・学生などに人気が高かったが、建物や設備の老朽化、観客の減少による経営不振により、97年3月に閉館した。その直後、遊技業のマルハンが経営権を取得して、再建準備を進めていた。

 マルハンが映画興行に進出するのは初めてのことだが、「日本映画興業界に大きな足跡を残した『文芸坐』の名前を汚すことなく、新世紀の映画文化醸成に貢献したい」との考えで再建計画を進め、今回の新規オープンにこぎつけたものだ。
 新文芸坐は、建築中のマルハン池袋ビルの3階に位置する。座席数266、映写設備に最高の機種を予定しているが、音響設備にも関東地区で初導入となるドルビーデジタルEXを設置し、最高級の音質を提供。場内の飲食や立ち見も禁止し、観客に快適な映画観賞を保証していく。

 劇場の壁面には、名画のワンシーンをイラストで表現する有名なイラストレーター和田誠さんの壁画を125点、展示する。文芸坐復興を喜んでくれた和田さんは、新作も10点書き上げる予定で、観客に楽しみが増える。
 オープニング記念上映として、12日から29日まで「戦後日本映画 時代が選んだ86本(第1部)」、来年1月13日から30日までが同第2部として、やはり86本が上映される。初日の12日には黒澤明監督の「七人の侍」、その後も「雨月物語」「生きる」「真昼の暗黒」「キューポラのある街」などが順次上映される。

「映画に国境なし」 永田稔・支配人

 池袋は単館ロードショーに不向きの街であり、名画を紹介してきた文芸坐の伝統を引き継ぐことも考えて、今回の番組編成にした。
 マルハンから①地域社会への貢献②安らぎの場の提供③エンタテインメントの提供との経営理念をお聞きして、それに基づき、既存のロードショー館に負けない最新設備を揃えることが出来た。

 在日企業が日本映画の名作を伝えてくれるのは、国境のない映画産業を象徴する意義あることだと思う。韓国映画界は勢いがあるが、今後は韓国映画祭なども企画してみたい。

文芸坐の沿革

 小説家「三角寛」(本名・三浦守)が1948年2月17日、芝居小屋風の木造建築映画館「文芸会館人世坐」を東池袋一丁目(現在とは別地)に設立。
 「人生」は一人の人間の生涯だが、「人世」は多数の人間の生涯を意味する。また昔の河原芝居は屋根がなかったので、「座」ではなく「坐」とした。さらに「坐」には護るという意味があるため、「人世坐」は「人の世を護る」という願いが込められていた。

 55年12月、現在地に「文芸地下劇場」をオープン。こけら落としに「七人の侍」を上映した。56年3月、文芸坐オープン。79年7月「文芸坐ル・ピリエ」オープン。興行界の斜陽激しく、97年3月休館。マルハンへ売却。2000年12月12日、マルハン経営による「新文芸坐」として再開業。