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2001/12/07

<在日社会>焼肉業界売上7割減

 9月10日に日本で初めて狂牛病にかかった牛が発見されてから約3カ月。先月末には3頭目の牛が発見されるなど、被害は拡大を見せている。在日業者が多い焼肉業界は客の減少に悩み続けており、年末商戦を前に苦境打開の取り組みを行っている。民団も支援体制をとっている。

 狂牛病で在日焼肉業者が大打撃を受けていることに対応し、在日韓国民団中央本部(金宰淑団長)はこの間、福田康夫官房長官、式部勤農林水産相、坂口力・厚生労働相などを訪問。

 「在日社会の基幹産業ともいえる焼肉業界の売上は、前年比7割から8割減という深刻な打撃を受けている。①安全宣言に基づいた広報活動の強化②感染ルートの徹底した究明③学校給食等、行政側での牛肉利用の促進④緊急融資制度の適用拡大」などを要望した。

 朝鮮総連では商工会関係者が中心となり、各地で狂牛病にかんするセミナーを開催する一方、牛を使わない新メニュー開発のため、料理研究家を招いての料理講習会などに取り組んでいる。

 来年5月からは全国で「焼肉フェスタ2002」を開催する。

 インターネット上でも焼肉業界支援の動きが出ている。在日コリアン経営の焼肉店を紹介しているサイト「焼肉天国ドットコム」(yakinikutengoku.com)は、今月1日から2002年1月までの期間に、焼肉店で5000円以上の食事をした人に領収証を送ってもらい、抽選で5人に10万円、50人に1万円をキャッシュバックする「焼肉キャンペーン」を開始。

 ほかにも焼肉ファンのサイトなどで業界支援のキャンペーンが行われており、「銀行よりも焼肉業界の方が社会的使命が大きい。焼肉業界に公的資金を導入して経営を助けてあげてほしい」などの声が寄せられている。

 各地方でも焼肉業界支援の動きが起きている。名古屋では8日、全国焼肉協会と東海農政局の共催で「全国ヤキニクまつりフェア・イン名古屋」を開催。狂牛病についてのパネル展示、パンフレット配布を行って安全性を訴えるとともに、和牛カルビなどの試食会を行う。

 焼肉業界は年末からの業績回復に向けて、さらにキャンペーンを開催していく計画だ。