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2002/10/04

<在日社会>韓国映画話題作、新作一挙12本

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    コリアン・シネマウィークに出品される「酔画仙」

 「東京。アジア、そして世界へ」をテーマにした東京国際映画祭が、10月26日から11月4日まで東京・渋谷の各映画館を中心に開かれる。日本における韓国映画人気は完全に定着。映画祭には4本、同映画祭協賛企画のコリアン・シネマウィークには6本、ファンタスティック映画祭には2本、計12本が公開。在日を主人公にした『夜を賭けて』『GO』も上映されるなど、韓国、在日の映画が元気だ。

 東京国際映画祭に出品されるのは『THREE』(金ジウン監督)、『復讐者に哀れみを』(朴チャヌク監督)『結婚は狂気の沙汰』(ユ・ハ監督)『密愛』(ビョン・ヨンジュ監督)。『密愛』は、従軍慰安婦問題などのドキュメンタリーを撮り続けてきた女性監督、ビョン・ヨンジュの劇映画デビュー作。韓日親善大使の金允珍主演で、夫を持つ女の不倫を通して、女性の生き方を考える。

 コリアン・シネマウィークは、日本での韓国映画の買い付け促進のため、駐日韓国大使館韓国文化院が昨年から始めたもので、新作映画に自ら字幕を付け、日本の映画関係者中心に上映会を行う。

 2002年カンヌ国際映画祭監督賞を受賞した『酔画仙』(林権澤監督)、SFスリラーの『イエスタデイ』(チョン・ユンス監督)、のほか、『フー・アー・ユー』(チェ・ホ監督)、『オーバー・ザ・レインボウ』(アン・ジヌ監督)、『海賊、ディスコ王になる』(金ドンウォン監督)、『達磨よ、遊ぼう』(朴チョルグァン監督)。

 金鍾文・韓国文化院長は「日本の韓国映画ブームを持続させるとともに、韓日文化交流に寄与したい。韓国で上映されたばかりの新作をそろえたので期待してほしい」と話す。

 ファンタスティック映画祭では、『火山高』(金テギュン監督)、サスペンススリラー『フォン』(安ビョンギ監督)が上映される。

 在日韓国人製作の『夜を賭けて』(金守珍監督)は梁石日原作の映画化で、戦後大阪を舞台にスクラップの密売をする人々を描く。アジアの優秀作品に贈られるアジア映画賞を狙う。

 今回の映画祭で特徴的なのは、「東アジア映画回廊(ギャラリー)の開催だ。韓国からは韓国映画振興委員会、ソウル総合撮影所、釜山映画撮影所、日本からは全国フィルム・コミッション連絡協議会、中国からは北京電影撮影所などが参加し、東アジア地域での映画企画の打ち合わせ、撮影所の情報交換などを行う。釜山映画祭では当初からフィルム・コミッションの交流が行われているが、東京国際映画祭では初めて。

 前澤哲爾・全国フィルムコミッション連絡協議会副会長は、「韓国ロケを行う日本の映画会社が最近急増した。韓国の映画会社が日本ロケを行う機会も増えるなど、韓日映画界は関係が深まっている。フィルム・コミッションの相互交流の重要性も増していく」と説明する。

 韓国映画界は一時のブームが去って、過大な投資を手控える企業も出ている。韓国の映画関係者は「映画バブルが去り、成熟した映画製作が出来る状態になったといえる。世界に配給する映画も増えたし、これから本当の力が問われる時がきた」と話している。