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2002/08/30

<在日社会>伝統家屋、池など朝鮮様式を再現

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    韓国庭園完成式には趙世衡・駐日韓国大使、森喜朗・前首相らが出席し、テープカット

 熱海駅から車で5分ほどのところに100年以上の歴史をもつ公園、熱海梅園ある。4㌶近いその梅園の一角に朝鮮朝時代の韓国庭園が姿を現した。韓国伝統の玉石や瓦で張った土塀に囲まれ、4柱門の様式の大門を入ると庭内には400年前の特徴的な建築様式である「堂」がどっしりと構え、長方形の池「方池円島」が涼風を誘う。28日の韓国庭園完成式典では、韓日の絆を深める平和友好記念碑や韓国初の女性パイロット・朴敬元飛行士記念碑の除幕も行われた。

 熱海の名所・梅園に誕生した韓国庭園は、熱海市が1億円余を投じて建設したもので、今後3年間かけて周囲の整備も進める計画だ。

 この韓国庭園建設は、2000年9月23日に金大中大統領と森喜朗首相(当時)による韓日首脳会談が熱海市で行われ、翌24日に両首脳が梅園を散策したのがそもそものきっかけだった。

 完成式典で森氏は、当時を振り返りながら「日韓の素晴らしい歴史がスタートしたシンボル」と讃え、金大中大統領は参加できなかったが名代の趙世衡駐日大使が「韓日間の平和と友好を増進させるとても価値ある韓国庭園」と熱海市の労をねぎらった。川口市雄・熱海市長は、「朝鮮朝時代の慶州の庭園を忠実に再現したものであり、日韓友好がさらに深まるようにと願いを込めている」と強調、韓日友好を象徴する韓国庭園の完成を祝った。

 近年、熱海市には韓国人観光客が増えており、今回の式典には熱海市と交流のある西帰浦から姜相周市長やJC(青年会議所)代表ら、韓国の社会奉仕団の太陽会メンバーも多数参加。また、韓国舞踊、日本舞踊を披露するなど韓日交流の場ともなった。韓国庭園は、内庭(900平方㍍)と外庭(300平方㍍)に分かれ、庭園の中心となる内庭は朝鮮朝当時の両班の簡素な生活空間を再現している。

 庭園建設のため、庭園は韓国古建築専門家が監修し、特に両班らが起居する生活の場である堂は韓国の技術者が直接来日して建築した。朝鮮朝初期である16世紀初の様式で、四方に壁のない開放的な部屋のつくりが特徴だ。土塀や甕など韓国から資材を取り寄せてつくった。内庭で趙大使、森議員、川口市長の3人は紅梅、白梅などを植樹したが、花階(花壇)などにアンズ、ザクロ、サルスベリ、ムクゲなど高木類15種、ヤマツツジ、レンギョウなど低木類16種が植栽されている。

 金大統領と森首相の日韓首相会談を記念した友好平和記念碑の除幕は、鄭・駐横浜総領事も加わって行われた。刻字は両首脳の直筆の刻字をみながら韓日関係者はしばし談笑。外庭では韓国初の女性パイロット朴敬元の記念碑が除幕された。

 朴飛行士は植民地下の1933年、故郷に向けて飛行の途中、熱海で墜落死した。韓国と日本語で「思いは遥か故郷の大空」と書かれた碑文も前で、彼女が通った大邱の信明女子高の後輩である姜宗徳・同女高総同窓会長は、「これが国内外を通じて初めての記念碑です。表現できないほど感激でいっぱいです」と語った。

 32歳の若さで散った朴飛行士はどんな思いで見ていることだろうか。熱海につくられたこの韓国庭園は、韓日両国民にとって、いろいろと考えさせられるモニュメントもあり、一度は訪れてみる価値は十分にありそうだ。