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2002/01/25

<在日社会>政治参加への新たな一歩

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    永住外国人の住民投票を認めた米原町議会の採決(1月18日)

 滋賀県・米原町が、周辺自治体との合併方法を住民に選択してもらう住民投票条例を制定するにあたって、全国で初めて永住外国人にも投票資格を認めた。在日外国人住民の政治参加を進める一歩として、大きな意味を持つ。住民投票は3月末にも実施される。

 米原町は人口約1万2700人。永住外国人は約30人で韓国籍が多く、ほかに中国籍者などがいる。近隣の市町村との合併案が出てきており、現在3案が論議されている。村西俊雄町長は昨年、住民投票により合併案を決定したいと希望。その住民投票を行うにあたり、町内に居住する永住外国人にも認める方針を打ち出していたものだ。

 18日の町議会で村西町長は、「(町の)将来を運命づける重大な選択に対して、住民、議会、町長が自信をもって悔いのない選択を行う唯一の手段。住民自治の精神に根ざしたまちを実現する一歩になる」とあいさつした。採決の結果、委員会は賛成4に反対1、本会議は起立採決となり13対1で可決された。

 条例案では、出入国管理法で日本での永住権を認められた外国人のうち、20歳以上で町内に3カ月以上在住した者に投票資格を認めるとなっている。永住外国人は事前登録が必要になる。市町村合併問題に限定されていはいるが、永住外国人が住民投票に参加するのは全国で初めてのことだ。住民投票は投票率が50%を超えないと成立せず、町長は投票結果を尊重することになっている。

 村西町長は滋賀県職員を経験したことがあり、地方自治体職員採用試験の国籍条項撤廃に尽力し、在日外国人問題への関心を深めた。ちなみに滋賀県は2000年度(2001年採用試験)から国籍条項を撤廃している。

 安相鳳・民団滋賀県本部団長は今回の制定について、「本当にうれしい。この動きが全国に波及し、日本が国際化に向かってほしい」と述べた。

 今回の条例は、「同じ地域住民として町の将来を考えよう」と永住外国人の意思も受け入れる方針を示したわけで、在日外国人の地方参政権付与に向けて、大きな追い風となる動きといえる。


村西俊雄町長の話

 町内外から大きな関心を寄せてもらった住民投票条例が可決して、うれしく思う。永住外国人の投票参加を実現することができたので、今後、投票資格を積極的に申請してくれるように、在日の人々と話し合いの機会を持ちたい。21世紀の町づくりのために、ともに汗を流していきたい。