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2003/10/31

<在日社会>在日の生き様、芸能界で示す

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    「ルート66」「ダニーボーイ」「アリラン」などの楽曲を次々と演奏、満員の観客から盛大な拍手を浴びた

 バンドマスターの金好植(岡宏)さんが、岡宏&クリアトーンズ・オーケストラの結成から30周年を迎え、記念コンサートを25日、東京の中野サンプラザ大ホールで行った。岡さんは46年間芸能活動を続け、バンドを結成から30年。浮き沈みの激しい芸能界で、在日の誇りを胸に生き抜いてきた。

 この日のコンサートには、各界から2000人が参加した。歌手の園まり、大津美子、伊藤咲子さんらが30周年を祝うためにゲスト出演した。

 金さんは、「これからは自分の器に見合った音楽人生を送りたい。芸人は文化の心を持った情のある人に支えられ成り立っている。今後とも大衆文化を支援してもらいたい」とあいさつした。

 また青木光一・日本歌手協会会長から、日本歌謡界への貢献を称えて感謝状が贈られた。夫人で歌手の金蓮子さんが壇上に上がり、夫婦そろって感謝のあいさつをするシーンもあった。ファンから「30年の実績を持った生バンドの実力を感じた」などの声が寄せられた。

 金好植さんは高校在学時から学費と生活費を稼ぐため、テナーサックス奏者としてキャバレーのステージに出演、人気を博していた。日大芸術学部在学中にビクターオーケストラの専属となり、名指揮者ぶりを発揮。卒業後もそのまま芸能界で活動を続けた。

 フランク永井、橋幸夫などのバンドを経験した後、青江ミナのときに初めて自分のバンド「岡宏&クリアトーンズ」を結成した。以後30年、バンドメンバーにきちんと給料を払いながら演奏活動を続けてきた。金好植さんは在日韓国人文化芸術協会会長も務めている。

 「芸能界入りをしたころは在日を名乗れる時代ではなかったが、在日として活動できる下地を作ってきたと自負している。今後、在日の文化・大衆芸能を今後作り出したい」と締めくくった。