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2003/05/23

<在日社会>W杯1周年 韓日友好確認へ多彩な行事

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    2002年W杯で韓国は4強に進出した(イタリア戦でゴールを決めた安貞桓㊨)

 サッカーのワールドカップ(W杯)韓日共催大会が開催されて、31日で一周年を迎える。韓日国家代表チームによる親善サッカー、記念イベントなどを通して、両国のサッカー発展と韓日友好を促進する。昨年、韓日共同応援団を主宰したふれあいKJクラブも韓日戦で共同応援を行う。

 2002年ワールドカップでの韓日代表チームの躍進をさらに高め、東アジアのサッカー界発展のために予定されていた東アジアサッカー連盟(岡野俊一郎会長)主催の東アジアサッカー選手権は、新型肺炎SARSの影響で残念ながら土壇場で中止となった。

 その代替案としてW杯開幕記念日の31日に、国立競技場で韓日親善試合が行われることが決定した。韓日両チームとも、海外組を招集したフルメンバーで戦う予定であり、白熱した好試合が期待される。特に韓国は4月16日の韓日戦(ソウルW杯スタジアム)で0対1で惜敗したこともあり、雪辱を誓っている。韓国代表チームは26日に招集され、江陵でトレーニングに入る。

 在日韓国人と日本人有志で構成した「ふれあいKJクラブ」は、当初東アジアサッカー選手権での共同応援団を予定していたが、急きょ、韓日戦に向けた応援団を結成することとなった。

 事務局を置く在日韓国体育会の在日3世・李信一さんは、「韓国と日本のKJクラブやが参加して、200人規模の応援団を組む。在日コリアン、そして日本人有志のアジアサッカー発展と韓日友好に向けた思いを伝えたい」と張り切っている。在日韓国民団、韓国の公式サポーター「レッドデビル」も応援団を組む。

 いまでもW杯を思い出すという在日3世の李尚香さんは、「もう1年経つとは思えない。韓国が日本にエールを送り、日本が韓国にエールを送り、みんなが熱中し感動して涙した。政治的なことやまだ解決していない問題は残っていても、スポーツを通して一つになれることを実感できた1年だった。これからも相互に理解しあい、協力しあう関係に韓日がなることを望む。毎年W杯があって、韓国と日本で開催すればいいのに。韓日戦も応援に行く」と語った。

 FIFAワールドカップ日本組織委員会(JAWOC)はW杯1周年記念イベントとして、6月2日に「2002FIFAW杯記念シンポジウム」を新高輪プリンスホテルで、「W杯1周年記念コンサート」を8月1、2日の両日、横浜みなとみらいホールで開催する。

 記念シンポジウムは、「W杯がもたらした財産」をテーマに、大会で勝ち得た経験、恩恵の今後の活用を考えるもので、川渕三郎・日本サッカー協会キャプテン、那須翔・JAWOC会長、スポーツジャーナリストの二宮清純さんらが報告。

 記念コンサートはW杯決勝戦が開催された横浜の地で、日本が誇る指揮者・佐渡裕さんを始め韓日トップアーティストを集めて行うもので、W杯の感動を呼び起こし、韓日交流を促進する音楽会となる。新宿のコリアタウンでも、1周年記念行事を計画中だ。

 昨年のW杯期間中、新宿コリアタウンに友人と通いつめて応援したという在日3世の金松愛さんは、「31日はもちろんコリアタウンで友人と韓日戦を応援する」としたうえで、「韓日両国が悲しい過去を乗り越え、お互いが新しい未来に向かって手を取り歩む、そういう変化を感じた大きな1年だった。世界ではいまも平和とは異なる多くの悲劇が起こっているが、韓日両国を近づけた昨年のW杯のように、世界中に平和をもたらす機会が増えることを願う」と話してくれた。

 韓国では31日、開幕戦を行ったソウルW杯スタジアムで「平和コンサート」が開かれ、W杯親善大使を務めたソプラノ歌手のチョウ秀美をはじめ韓国の人気歌手が多数出演する。コンサートの合間には韓国戦を中心にした名場面集、同時刻に開催される韓日戦の実況シーンも大型画面で流し、W杯の感動を再演する予定だ。