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2004/10/08

<在日社会>ブーム呼ぶ韓国語学習・ハングルが身近な存在に

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    日本では韓国語学習熱が若い女性を中心に高まっている(インジェスター学院で)

 10月9日は「ハングルの日」。ハングルの誕生を記念した日である。その韓国語は、韓流ブームの影響もあって、アジアを中心に広がりを見せている。特に日本では韓国語学習がブームとなりつつある。

 先月行われた第8回韓国語能力検定試験は、世界各国で1万7531人が志願した。昨年より44%(5344人)増加した。第1回目の志願者に比べ6・5倍の数字になる。急増しているのは日本、中国、ベトナムといった韓流ブームの地域だ。日本人志願者は6000人で昨年より20%増えた。

 日本での韓国語ブームは、韓国テレビドラマの人気が大きく影響している。「ドラマを原語で理解したい」「韓国で会話をしてみたい」などの理由でハングルを学び始めるケースが多い。

 NHKテレビのハングル講座の4月号のテキストは20万部が売れた。

 韓国語教材を発行する出版社も増えた。学習書大手の学研も韓国語学習本に力を入れている。社会教育出版事業部の伊川龍郎副編集長は、「韓国語の学習書は人気が継続している。楽しく学んでいるという印象があるし、ハングルが身近になったという印象を受ける。ハングルの文字を大きくした学習書がほしいという女性の声もあり、層の拡大を実感する」と話す。

 韓国語を学ぶことの出来るカルチャースクール、専門学校なども申し込みや問い合わせが殺到している。韓国語講座で古い歴史を持つ朝日カルチャーセンターも、今年は満杯状態で、「こんなことは初めて」と担当者は語っている。

 在日コリアン経営のインジェスター学院(東京・麻布)にも、「韓国ドラマを見て韓国に関心を持った」として受講を希望する人が増えている。初級クラスに通う会社員の稲荷美保(26、いなり・みほ)さんは、「冬ソナにあこがれて韓国旅行し、人々が親切なのに感動した。将来は韓国映画やドラマの字幕の翻訳をしたい。」と語る。会社員の大島由樹子さん(28)も「文法が日本語と同じなので、英語より学びやすい。韓日は今後さらに近い関係になると思うので、その手助けになる仕事をしたい」と語る。

 語学講座の運営を担当する尹日洙さんは「韓流で希望者が増えているのは確かだが、身近に留学生の友人がいるとか、旅行に行って関心を持ったという人も多い。受講者の8割が女性だ。韓国語市場はさらに伸びると思う。外国語教育市場は1000億円産業だが、将来はその10%が韓国語と中国語になるるのでは」と述べた。
 
 韓流効果で通訳、翻訳の仕事も増えている。

 派遣業大手の国際交流サービスは、韓国語の登録希望者が激増、この2~3年は年100人ほど登録。現在の登録者数は約500人。旅行業界の依頼が増えているという。同社は短期留学制度も設けているが、新企画としてペ・ヨンジュンが在学した成均館大学への短期留学コースをスタートさせる。20日に詳細を発表する。

 通訳・翻訳業の尹春江さんは、「エンタメ系は昨年あたりから仕事が増え、職業としたいという希望者も多い。だが翻訳は両国の文化理解がないと出来ない難しい仕事であることを知っておいてほしい。地道な努力が必要」とアドバイスする。

 韓国語講座を設けた高校、大学は90年代後半から増え、財団法人国際文化フォーラムの調査によると、2002年現在で高校が219校、大学・短大が410校になるという。教育現場の場合、国際交流の一環で韓国語を取り入れた学校が多い。日本で韓国語を学ぶ層は推定4~5万人といわれるが、その数字が今後増えることは間違いなさそうだ。