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2004/09/17

<在日社会>在日社会も高齢化・65歳以上8万人超す

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    在日高齢者向けの介護施設が各地に必要だ(足立区の在日向けケアハウスで民族舞踊を楽しむ在日1世)

 9月20日は敬老の日。在日社会でも各地で催しが行われる。在日の高齢者(65歳以上)は2003年末現在で8万4017人(法務省入国管理局総務課)にのぼる。日本社会と同じように在日社会も高齢化率が高まっている。

 日本における韓国・朝鮮人の総人口は2003年末現在で61万3791人。65歳以上の人口は8万4017人になる。この内訳を見ると、男性3万6451人(65~74歳の前期高齢者2万1151人、75歳以上の後期高齢者1万5300人)、女性4万7566人(前期高齢者2万6977人、後期高齢者2万589人)だ。

 在日韓国・朝鮮人社会の高齢化率を見ると13・7%と高い数字だ。

 総人口に対して65歳以上の人口が7%を超えると高齢化社会、14%を超えると高齢社会といわれるが、在日社会も高齢社会に突入寸前であることがわかる。

 ちなみに日本は70年に高齢化社会に入り、10年前の94年に高齢社会を迎えた。日本の総人口は2004年8月1日現在の概算値(総務省)で約1億2758万人、65歳以上は2205万人にのぼる。高齢化率は17・3%だ。

 日本は医療水準の向上、公衆衛生の進歩、戦争や内乱のない平和的社会環境などで平均寿命が延び、世界1の長寿国といわれている。2002年現在の平均寿命は女性85・23歳、男性78・32歳だ。

 在日の高齢化問題を研究している山形大学人文学部非常勤講師の権純縣さんによると、「在日社会は経済状態も良くなり、日本社会とほぼ同じ速度で高齢社会が進んでいる」という。

 それを踏まえた上で、「在日韓国人の文化に根ざした少子高齢社会対応の施設、ネットワーク作りなどが早急に必要とされる。特に独り暮らしの在日高齢者の実態調査と生活支援が急がれる」と話す。

 在日同胞高齢者の介護問題に取り組むため、東京、大阪、愛知、京都など全国で高齢者福祉に取り組む28の団体が、「在日コリアン高齢者生活支援ネットワーク・ハナ」を設立し、高齢者支援活動に取り組んでいる。

 各地における取り組みの情報交換、事例研究、同胞高齢者と障害者の無年金訴訟に対する取り組みなどをメインの活動にしている。金永子・四国学院大学社会福祉学部教員ら3氏が共同代表を務める。TEL075・693・2550。

 韓国は2002年11月現在の総人口4763万9618人。65歳以上の人口377万3000人、高齢化率7・9%になる。2000年に高齢化社会(7・2%)に突入以後、世界最速の日本を上回る速度で高齢化が進んでおり、2010年に10%、2022年に14%を超えて高齢社会に突入する見込みだ。

 韓国はこの間、農業社会から産業化社会に大転換を遂げ、子どもたちの都市移住による高齢者単独世帯の増加が急速に進んだ(農村地帯は54%)が、それに対応する社会福祉制度が未整備で、社会問題となっている。