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2006/07/07

<在日社会>韓国民団・朝鮮総連との和解を白紙撤回

 在日本大韓民国民団(民団、河ビョンオク団長)は、北朝鮮がミサイルを発射した問題を受けて、在日本朝鮮人総連合会(総連)との和解について白紙撤回する方針を決め、6日に正式表明した。5月17日の歴史的な共同声明発表からわずか1カ月半で声明は白紙になった。

 民団は6日、河団長名の談話文を発表し、「民団が総連と和解することによって、日本社会と総連、ひいては日朝関係の架け橋の役割を果たせるものと考えておりました。しかし、北韓のテポドン発射によって日本社会を不安に陥れた今となっては私たちの願いも水泡に帰しました」として、「民団は総連との間で交わされた5・17共同声明を白紙撤回せざるを得ないと判断いたしました。同時に、北韓に対してはミサイルと核開発の即時停止および再発防止を求め、そして総連に対しても積極的に呼応するように訴えます」と、白紙撤回を正式表明した。

 民団は5月17日に在日本朝鮮人総連合会(総連)との間で共同声明を発表し、①両団体の和解と和合②「6・15民族統一大祝典」への参加③日本からの植民地解放を記念した「8・15記念祝祭」の共催など、6項目で合意していた。

 しかし、共同声明発表に至る手続きの不備や、共同声明を発表するために脱北者支援センターなどの活動棚上げを決定したのではないか、などの疑問が団員の間から噴出し、混乱が続いていた。

 民団中央は、6・15民族統一大祝典への総連との共同参加、8・15記念祝祭の総連との共催見送りなどを決めたが、6月24日に行われた臨時中央委員会でも激論が続き、「和解は白紙に戻したような状態になった」と河団長が発言。

 また臨時中央委員会名で、総連に対して民団と共同で北朝鮮当局に①ミサイル発射の中止②韓半島からの核の一掃、などを求める決議文を採択し、30日に文書を総連に郵送していた。

 一方、臨時大会開催を求める署名運動も始まっていることから、問題解決には時間がかかるとみられる。

◆在日にも悪影響 呉忠根(群馬県立女子大学・講師)の話

 「北朝鮮は自国を守るための短距離ミサイルの実験で、他国を狙ったものではないという主張するだろう。ロシア沿岸近くに向けて発射しているが、ロシアには着弾予定地点を内密に通報している可能性がある。米国の独立記念日・スペースシャトルと同じ時期に撃ったのも、挑発というより、逆に米国のお祭りムードの中で反発を薄めようと考えたかも知れない。周辺の軍事的緊張を高めたことは大きなマイナスで、在日社会にも悪影響を及ぼすことが懸念される」

◆副団長4人が辞任◆

 民団は3日付で中央本部の副団長5人のうち金君夫、金昭夫、金保雄氏の3人、さらに4日付で金淳次氏と4人の辞任を発表した。

 民団中央は5・17共同声明の実務を担った企画調整室長が責任を負い、すでに辞任しているが、今回副団長4人が辞任することで総連との和解をめぐる混乱を収拾させる意向だ。

 なお朴小秉副団長は留任、補選で選ばれた副団長は金洪斤、夫昇培の2氏で残る2人は未定。


■民団新人事■

【辞任】副団長-金君夫、金昭夫、金保雄、金淳次【留任】副団長-朴小秉【補選】副団長-金洪斤(前神奈川県本部団長)、副団長-夫昇培(元東京本部団長)【新任】企画調整室長-チョ・チャンスン、事務副総長-金淳泰