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2007/06/15

<在日社会>韓流は今・バブル過ぎたが人気定着

  • zainichi_070615.jpg

    ヨン様来日時、韓流はピークに(2004年4月)

 一時のバブルは過ぎたものの、韓流は完全に日本謝意に定着したと言われる。最近はどうなっているのか。在日の業界関係者に話を聞いた。

 韓流といえばテレビドラマ、映画が主流だが、映画については残念ながらこの間、ヒット作が出ていない。韓国で大ヒットした『グエムル』『トンマッコルへようこそ』『王の男』などが軒並み低調に終わったため、新作を買い付ける動きが激減している。

 すでに買い付けが終わっている作品の公開が今年終わった後、映画祭などでの特集上映以外は、来年は激減すると見られている。

 これについては「単館ロードショーで長く上映したほうが良い種類の作品でも、買い付け価格が高かったので元を取るために拡大ロードショーして失敗した作品もあった。バブルも終わり売値も適正価格に向かっているので、長期的には持ち直していくことを期待したい」と話す在日の映画関係者もいる。

 韓流スターの通訳などの依頼が多い在日3世の尹春江さんは、「バブル時に比べれば仕事量は2割ほど減ったという実感はある。ただ映画関係は減っても、韓国ドラマ人気は続いている。元々テレビドラマが韓流のスタートだったし、ドラマ人気は完全に定着した。ファンミーティングなども映画スターより、ドラマスターにシフトしており、その傾向は続くだろう」と話す。

 韓国映画については、「日本の観客を意識しすぎて韓流スターを登場させるだけの質の低い作品もあった。いまは冬の時代だが、良い作品を作って復活することを期待したい」と語った。

 韓国テレビドラマは、地上波よりもBS放送で多く放送されており、全体本数は把握できていないが、1日に15~20本近くは放送が行われている。恋愛ドラマだけでなく「宮廷女官 チャングムの誓い」をきっかけに時代劇人気も高まっている。

 韓国ドラマの配給業務などを行うコリア・エンターテインメントを2000年7月に設立した在日3世の成七龍社長は、『ホジュン』を始めとするテレビドラマを20本以上配給してきた。同社によると、レンタルビデオ店のドラマランキング100のうち、韓国ドラマが6割を占めるという。

 「韓国ドラマの観客層はこれまで女性が圧倒的だったが、最近は客層が広がってきた。たとえばホジュンを見る人の3割は男性だ。内容に工夫をこらしたドラマが増えたので、人気はしばらく続くのでは」と話す。

 韓流関係の雑誌も減少はしたが定着している。韓流ムック誌を出している出版社は、「数年前は多くの出版社が韓流雑誌を出していたが、最近では淘汰されて主要数社になった。発行部数はブーム時の半数以下で20数万部だが、ドラマ人気が続いているので新たなスターが登場すれば、また盛り返すのでは」と語る。

 NHKのハングル講座テキストは韓流以前が(公称)ラジオ8万部、テレビ9万部だったが、韓流効果でラジオ10万部、テレビ22万部と増えた。「女性読者が拡大し、地道に学んでいる人が多い。今年も同じ程度発行した」とのこと。

 在日の業界関係者は、「韓国、そして韓国語への関心が日本社会に定着したことは大きな意味がある。今後は需要と供給のバランスの取れた状態になっていくのではないか」と強調した。