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2007/04/13

<在日社会>アジアの画家集い東洋の美を世界に

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            「りんご園の帰り道」 林忠赫

 第1回亜細亜国際美術展が5月上旬、東京・銀座で開催される。アジアにおける美術と友好関係を発展させるための展覧会で、在日2世の画家、林忠赫(リム・チュンヒョク)さんが代表を務める亜細亜国際美術会の主催だ。

 同展はアジアの時代、アジアの文化、アジアの美術を見つめ直し、アジアの美術を発展させるために、林忠赫氏を中心に数年前から企画され、実現に至った。

 林忠赫さんは和歌山出身の在日2世。東洋画をを学んだ後、24歳で油絵、具象画を始めた。85年に国展に出品し、最高の国画賞を受賞した。林さん独自の画風が高く評価されたものだ。

 その林さんの呼びかけに、アジアの画家が応えた。今回参加するのは、韓国、日本、北朝鮮、中国、タイなどで活躍中の画家たち。日本の場合、春陽会の審査員及び会員等、第一線で活躍している画家14人、それに韓国2人、北朝鮮の3人など。

 在日からは代表の林忠赫氏のほか、李景朝氏、それに故人の宋英玉氏の作品が出される。全体で約30人が出品する予定で、油彩画、朝鮮画、中国画、日本画、水彩画など多彩な作品が集った。どれもアジアの美を感じさせる作品である。

 林さんは、「米国や欧州の影響を受けている在日の人も少なからずいる。しかし、韓国人であること、朝鮮人であることを忘れないのは大切なことで、美術の世界でも、韓国、朝鮮的な感性に新たな美を見つけることが重要だと思う。もちろん、米国や欧州は表面的には良い物があるが、精神的な深さはやはり東洋にあると思うからだ。東洋の精神、美を感じ取ってほしい」と話す。

 同展は、銀座のギャラリー悠玄で5月2日から8日まで開かれる。今後、毎年開催して、参加者も拡大していく予定。

◆韓国・朝鮮の美追求  林 忠赫さん(在日2世、画家)

 「アジア、特に私としては、韓国・朝鮮の伝統的な良いものを美術的に把握して継承発展させ、更なる伝統を生み出せる事につながればと思っている。私は事情があり日本国籍を取得したが、これからまた韓国籍に戻そうと考えている。そして将来的には韓国で生活し、個展を開きたいと考えている。できれば永住することも考えている。米国、欧州、日本的な思考を出来るだけ体から取り除き、生涯かけて韓国、朝鮮の美を追求したいと思っている。そして多くの仲間とともにアジアの美術を発展させたいと願う」