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2007/02/23

<在日社会>韓日有志が医療交流・メディカルアロマテラピー普及を

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    阿部博幸医師㊨とアロマテラピストの長谷川記子さん

 アロマテラピー(植物の芳香療法)を、がん患者の補助療法などに使うメディカルアロマテラピーが、最近注目されており、韓日の医学関係者が協力して普及を目指す動きも起きている。メデカルアロマテラピーの韓日王流に向けた動きを紹介する。

 アロマテラピーは、西洋では古代エジプトの時代、4500年前より伝ってきた植物の精油をつかった伝承医学療法だ。

 科学的医薬品と違い、心身を癒す緩やかな効用が特徴で、フェノール系の殺菌力をほとんどの精油が含むほか、心の不安や恐怖を取り除き、患者の自然治癒力を高めることができると評価されている。中国でも漢方医療の中で、沈香が用いられてきた歴史がある。

 90年代に入り、英国を含め欧米諸国で、医療現場でアロマテラピーを補助療法として使う動きが普及してきた。その英国で実際に行われているアロマテラピーによるがんの代替、補助療法を日本で紹介するために、「ガンを癒すアロマテラピー」(リヨン社)を出版したのが、薬剤師・アロマテラピストの長谷川紀子さんだ。

 長谷川さんは、「がんになるとストレスで免疫力が低下し、症状が悪化するとともに、うつになりやすくなる。そのストレスを除くには自然治癒力を高めることが大切だが、そのためにアロマテラピーは力を発揮する」と話す。

 監修者の九段クリニック理事長の阿部博幸博士は、「近代医学が忘れてきた心のケアがいま見直されている。患者さんの心に耳を傾け、日々の生活のあり方の向上を可能にする療法の一つとして、アロマテラピーがある」と語る。

 日本でも、日本赤十字医療センターで、アロマテラピーがとり入れられている。香りによる補助治療が一部で行われるようになりつつあり、アロマテラピーへの注目も高まりつつある。

 「韓国香気瞑想協会」(ソウル市)の創始者、金潤鐸さんが同書に注目し、韓国語に翻訳して昨年3月出版。同時に長谷川さんを、ソウルに招いて出版記念講演会を開催した。

 韓国でもこの間、最新のホスピスなどが財団や教会関係者などにより各地につくられ、自然療法を取り入れる動きがある。同年4月には同財団主催のホスピス教育セミナーで、「ターミナルケアにおけるアロマテラピー」というタイトルで、ホスピス・医療関係者向けに報告を行った。

 長谷川さんは昨年、金潤鐸さんの招きで、仁川にある統合医療病院「ダニエルホスピタル」で講演するなど韓国との関係を深め、「韓日でよりアロマテラピーを普及しましょう」との提案を受けている。

 アロマテラピーは欧米が発祥でラベンダーなどの香りが中心だが、韓日の人々に受け入れやすいアロマテラピーを普及しようとの意だ。

 また、ダニエルホスピタルのカン・デイン院長は、「在日の医師とも交流を深めたい」希望があるとのこと。

 長谷川さんは、「例えば松の香りは鎮静作用、抗うつ作用があるし、韓日両国で古代からなじみがある。ゆずやしょうが、オレンジなども両国で愛されている。それらの香りをもとに心身のケアをしていきたい。韓日の医師・企業が、ストレスケアにアロマを取り入れたらすばらしい。ぜひ韓日の医師・企業に協力してほしい。香りに国境はないのだから」と話す。長谷川さんの連絡先は℡047・345・0647。