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2008/07/11

<在日社会>韓日の詩人が相互交流

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    昨年の「詩の祝祭」。

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    飯嶋武太郎さん

 韓日の詩人同士が交流を深めようと2005年に作られた「韓日文化交流会」が、7月21日にソウルで第4回目の交流会を開く。同会は詩人で韓国文学振興財団理事長の成耆兆さん(ソン・キジョ、72)が、親交のあった日本の詩人で獣医の飯嶋武太郎さん(62)に呼びかけて3年前に始まったもので、相互理解を深める貴重な場となっている。

 「韓国の詩を見ると、植民地支配、南北分断、民主化運動など激動の歴史を自らの痛みとして表現し、その中で希望や喜び、愛を見出す姿を読み上げたものが多い。その生き様と崇高な精神に共鳴し、韓国詩を翻訳・紹介する『むくげ通信』の自費出版を続けてきた。日韓の詩人が交流を行うことで、さらに相互理解が深まればと思う」

 詩人同士の交流を長年行ってきた飯嶋さんは、韓国詩と詩人への思いをこう語った。

 飯嶋さんが韓国の詩人との交流を行うようになったのは92年。台湾で開かれた詩人のセミナーで韓国の詩人、金光林さんと知り合ったことに始まる。95年には東京で白石かずこ監修による金光林詩集出版記念会が東京で開催され、金光林さんとの交流を深める。以後、韓国の詩人との交流を続けてきた。銀行マンとして働きながら数多くの詩を発表した権宅明(クォン・テクミョン)さん、21世紀韓国文学会を主宰する鄭鎔采(チョン・ヨンチェ)さん、全北大学名誉教授で全州を代表する詩人の崔勝範(チェ・スンボム)さんなどである。

 韓国文学振興財団の理事長で詩人の成耆兆さんと知り合ったのは2000年4月。韓国の自然や、民衆の生活をうたった詩に共鳴し、02年には詩集を翻訳出版する手助けをした。 その後、教科書問題や独島(竹島)の領有権問題などで韓日の対立が続くと、「文学を通して相互理解を深めるため、韓日の詩人交流を行ってはどうか」と成さんが飯嶋さんに相談し、詩人交流のスタートとなった。

 第1回目の韓日文学交流「詩の祝祭」が開かれたのは05年4月、第2回はソウルで06年6月、第3回は昨年7月に東京で行った。合同詩集の発行も2回実現した。そして今年7月21日に、第4回をソウルで行う。秋には合同詩集第3号を発刊する。

 成耆兆さんは、「文化的葛藤を友情と助け合いの心で克服し、平和的な理想社会を建設する一助になれば」と、同交流会の開催意義を語る。

 飯嶋さんは、「韓国では現代詩の歴史は100年ほどに過ぎないが、国民に愛され、政治家、学者、教員などをしながら詩作活動をする人も多い。数十万部発売される詩集もあり、詩人の社会的ステータスも高い。自費出版がほとんどの日本とは大きく異なっている。そういう背景や作風の違いなどを理解しながら、お互いの文学性を高めていくことができれば」と話す。