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2009/05/22

<在日社会>在日と韓日有志で詩作・「時調の会」が結成10周年

  • 在日と韓日有志で詩作・「時調の会」が結成10周年

                    「時調」第10集

 在日有志と日本人で作られた「時調(シジョ)の会」(事務局は神奈川県川崎市)が、99年の結成から10周年を迎えた。時調(三行詩)の詩作を通して韓日交流が深まり、作品集も10号を出すに至った。

 時調の会は現在、在日18人、日本人4人の22人の会員がいる。この10年間で時調を発表したのは30数人で、小学生から高齢者まで幅広い年代にわたっている。

 当初、時調の会は在日2世を中心に「在日の時調(三行詩)の会」として、スタートした。韓国の定型詩「時調」にならって、在日文化を底上げするために作られた。

 時調は高麗王朝後期となる14世紀後半までに成立した詩型で、自由律の短歌である。短歌は「歌う」ことが強調されるが、時調は「語る」ことが強調されている。

 その「時調」に関心を持った日本人有志が加入を希望するようになり、また韓国からの寄稿も続いたことで、会の正式名称から「在日の」を外した。

 また韓国では三行詩よりも自由詩が盛んなことも考慮して、「三行詩」の文字も外し、2006年に「時調の会」として再スタートした。

 日本の歌壇や詩人グループとの交流も深めるようになった。
 
 同会事務局幹事の金一男さんは、「10年間『心の日記』をつづってきた。その営みが文学的にどこまで成功したかはわからないが、(毎年発行している)ささやかな一冊の詩集が、一つの集まりの一つの時代を写し取ってきたことは確かだ。韓国や日本の詩人との交流も行い、韓日合同詩集も出すことができた。今後も地道な活動を積み重ねていきたい」と話す。

 同会では創作について、日本語の場合は、1行20字前後で3行を基本にしているが、後は自由に創作するようにしている。

月に1回例会を開いて学習しているほか、懇親会なども行っている。

 例会では「韓国近現代時調選集(広岡富美・編訳)」「韓国時調四四三選」(瀬尾文子・編訳)」などを使用して、勉強を重ねている。

 時調第10集は日本文学館発行、定価952円。会員は年齢・国籍問わず。年会費3000円。連絡先は〒210-0846神奈川県川崎市川崎区小田1-13-4金方「時調の会」幹事会事務局。℡044・355・6907。


◇7月に韓日文学交流「詩の祝祭」を開催

 第5回韓日文学交流「詩の祝祭」が7月26日、東京・南麻布の韓国中央会館で開かれる。韓日の詩の現状報告、韓日の詩人による朗読、伝統芸能などが行われる。参加人数は100人予定で、時調の会も運営に協力している。