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2009/05/29

<在日社会>2012年の施行予定の特別永住者証明書・常時携帯義務が削除へ

 特別永住者に対し、「外国人登録証」の代わりに導入される「特別永住者証明書」について、常時携帯義務の方針が撤回されることになった。 衆院法務委員会の自民党・民主党・公明党の3党の理事が暫定合意した。

 入国管理・難民認定法改定案は、これまで市町村が発行していた外国人登録証明書を廃止し、入国管理局が新たに発行する在日外国人在留カードによって一元管理するというもの。

 90日以内の短期滞在者や中長期滞在者(在留資格を持って3カ月以上滞在する外国人、一般永住者も含む)には「在留カード」で、在日韓国・朝鮮人が大多数を占める特別永住者については、「特別永住者証明書」を発行する。どちらもICチップを内蔵している。

 顔写真、氏名、生年月日、在留資格、在留期間などの情報をカードに記載し、さらに外国人が所属する企業や大学、日本語学校に対して、就労・就学状況の報告を義務付けている。

 改定案では、「特別永住者証明書」「在留カード」とも常時携帯を義務付け、不携帯時には「10万円以下の過料」(特別永住者証明書)、「20万円以下の罰金」(在留カード)の罰則規定を設けていたが、「歴史的経緯のある在日韓国人に対して、常時携帯義務や罰則規定があるのは人権侵害ではないか」などの声が高まり、韓国政府からも批判が出ていた。また民主党や公明党からも「特別永住者の常時携帯は人権上問題がある」と反対意見が出たことを受け、今回の削除となった。

 権哲賢・駐日韓国大使は、「在日同胞の人権改善に向けた新しい時代が開かれることになった」と述べた。

 中長期間滞在の外国人については、「携帯義務削除の検討」を付則に盛り込む予定だ。また入管法改定案では、特別永住者は2年以内に日本に戻る場合、再入国許可の必要がなく、一般永住者の場合、1年以内に日本に戻るのであれば再入国許可が不要となる。

 3党はこのほか、①技能実習で来日した外国人の受け入れ先企業の責任明確化②政府が取得した外国人情報の目的外利用防止の厳格化―などでも合意した。一方、外国人を住民基本台帳に登録して住民票を作成する住民基本台帳改正案も修正協議が行われている。

 両案とも、2012年から施行の見込みだ。

 *特別永住者とは、日本の降伏文書調印日(1945年9月2日)以前から引き続き日本(いわゆる内地に限る)に居住している平和条約国籍離脱者(韓国人=朝鮮人及び台湾人)とその子孫を対象とする。