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2009/11/13

<在日社会>ドイツ統一20周年・韓半島も統一への備えを

  • ドイツ統一20周年・韓半島も統一への備えを

    2007年に南北を結ぶ鉄道が開通した

 1989年のドイツ統一から20年が経った。残る分断国家は韓半島だけとなったが、韓国では、統一ドイツの例をみながら、南北統一に備えようとの声が起きている。

◆ 「民衆の力量で壁を崩そう」 金 時鐘さん(キム・シジョン、詩人)◆

 「ベルリンの壁は民衆の力で崩れたことを、改めて思い出す。韓半島の分断は、外的要因としては冷戦構造がまだアジアに残っていることだが、内的要因としては南北の反目がある。民族の根源的融和に向けた努力が足りなかった。政治的主張よりも同胞愛、民族愛を優先させ、反目の壁を取り除くことが、実質的統一につながることを、ドイツの事例に学ぶべきだろう」


◆ 「時間をかけて一つの民族に」 姜 在彦さん(カン・ジェオン、歴史家)◆

 「太陽政策で実現した開城工業団地、南北鉄道、金剛山観光などの事業は継続させ、交流の拠点としてほしい。ドイツは統一して20年経っても東西の統合には時間がかかっている。連立か連合か、将来南北統一しても一つの民族として機能するには、ドイツ以上に時間がかかるだろう。粘り強く対応することが重要だ」


 *1989年11月9日、東西ドイツ分断の象徴だったベルリンの壁が崩壊した。当時、統一を願っていた西ドイツの政治指導者たちですら、壁崩壊が直ちにドイツ統一につながるとは思っていなかった。首相だったコール氏は後日、自らの回顧録に「その当日になっても、89年11月9日がドイツの歴史に一線を引く日になるとは思いもしなかった」と記している。

 だが、時代の流れは奔流、翌90年10月3日、ドイツは統一を実現した。突然、その日は来たのである。ベルリンの壁崩壊から20周年を迎え、韓半島の南北は、唯一残った分断国家として統一という重い課題を抱えたままだ。

 88年から10年間、ドイツ下院議長としてドイツ統一の主役の一人だったリタ・ジュスムート女史(72)は、韓半島の統一可能性と意義について、「ドイツのように必ず統一されるだろう。それは自然の過程だ」として、「分断以降に育った若い層に統一の必要性を継続知らせ、その効果を広報すべきだ。南北統一が実現する際、韓国が被る経済的ショックに対する憂慮が多いというが、分断ドイツ時代にもそのような主張が多かった。だが、結果的に経済に助けになった。双方の支援を共有することは大きな機会だ」と語った。

 また、南北間の交流協力レベルは過去の東西ドイツにはるかに及ばない現実について、「少しずつ協力関係を前進させること自体が重要だ。毎日少しずつ準備してきたことがある日突然、予想もしなかった展開として連続的に起こりながら統一が実現する」と語った。

 南北関係は、「囲いの中の開放」といわれながらも開城工業団地が稼動しており、いまは中断しているが金剛山観光事業の再開も待たれている。限定的であり、南北鉄道、南北道路も開通しており、かつての38度線を境に完全遮断していた厳しい敵対関係からは明らかに変化している。 
 韓国のマスコミは、ベルリンの壁崩壊20周年を南北分断の現実に照らし合わせて解説、「東独住民が投票を通じて統一を選択したのは、東独住民の生活水準と人権向上に寄与してきた西独政府の一貫した努力を認定したからだ。北朝鮮政権と住民を分離して北朝鮮住民に対しては人道的な支援と人権改善努力を強化しなければならないこともベルリンの壁崩壊20周年がもたらした重要な教訓」との指摘もなされている。「座して待たず」という言葉がある。ベルリンの壁崩壊20周年に際し、南北統一問題への再接近が必要なようだ。その日のための備えは、南北自由往来を含め交流・協力関係を深めることだろう。