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2009/09/04

<在日社会>関東大震災86周年・市民団体が朝鮮人追悼碑建立

  • 関東大震災86周年・市民団体が朝鮮人追悼碑建立

    荒川河川敷近くに建てられた追悼碑

 1923年9月1日に発生した関東大震災では、「朝鮮人が井戸に毒を投げ入れた」などの流言飛語が飛び交い、約6000人ともいわれる朝鮮人が虐殺される事件が起きた。それから86周年、関東各地に朝鮮人犠牲者の追悼碑が建てられているが、このほど在日と日本人有志による追悼碑が、荒川河川敷近くに建てられた。5日に慰霊祭が行われる。

 慰霊碑を建立したのは、在日と日本人による市民団体「グループほうせんか」と「関東大震災時に虐殺された朝鮮人の遺骨を発掘し追悼する会」のメンバーだ。

 70年代半ば、地元で荒川放水路開削工事の聞き書きをしていた元小学校教師の絹田幸恵さんが、旧四つ木橋での朝鮮人虐殺事件を聞いたのが始まりだ。グループほうせんかの代表を務める元中学教師の西崎雅夫さん(49)は、学生時代に絹田さんと知り合い、自分が子ども時代に遊んだ川の流域でも事件があったことを知り、82年から一緒に調査活動を始めるようになった。

 85年までに延べ150人から「朝鮮人が放火した。朝鮮人が攻めてくるなどと聞いた」「旧四ツ木橋で軍隊が朝鮮人を機関銃で撃ち殺すのを見た」などの証言を聞いた。その証言をまとめる一方、韓国にも調査に出かけ、その成果を冊子にもまとめている。

 毎年9月初旬に荒川河川敷で追悼式を行いながら、追悼碑建立運動を進め、墨田区への要望活動などにも取り組んできたが、進展しないまま、昨年2月に絹田幸恵さんが77歳で亡くなった。

 会では河川敷への建立をあきらめ、河川敷近くに有志で約40平方㍍の土地を購入し、追悼碑建立を決定。約700万円の寄付金をもとに石碑をつくった。

 8月29日には除幕式が行われ、関係者が完成を祝った。9月5日午後3時からは、墨田区荒川河川敷の木根川橋下手で、「韓国・朝鮮人殉難者追悼式が行われ、慰霊碑のお披露目される。

 碑には、「犠牲者を悼み、歴史を省み、民族の違いで排斥する心を戒めたい。多民族が共に幸せに生きていける日本社会の創造を願う、民間の多くの人々によってこの碑は建立された」との碑文が刻まれている。

 西崎さんは、「追悼碑が公的なものとして認知されるよう、運動を続けていきたい。追悼碑を慰霊の拠点として、多くの人に歴史を伝えていきたい」と話す。