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2009/12/11

<在日社会>在日建築家・伊丹 潤氏、済州英語教育都市の総括建築家に

  • 在日建築家・伊丹 潤氏、済州英語教育都市の総括建築家に

           伊丹 潤さん

 韓国政府が進める「済州英語教育都市」の建築コミッショナーというべきマスター・アーキテクト(総括建築家)に、在日2世建築家の伊丹潤(本名・庾東龍/ユ・ドンヨン)氏(72)が任命された。世界の建築家の中から白羽の矢が当たった伊丹氏は「アカデミー賞をもらったような気分だ。世界でもユニークなオリジナリティーの強い都市をつくりたい」と抱負を語った。設計・建築の最高責任者が決まったことで、アジアの教育ハブ(拠点)をめざす英語教育都市建設プロジェクトが本格化することになった。

 済州国際自由都市開発センター(JDC)は10日、済州市の同センターで任命式をもち、伊丹潤氏にマスター・アーキテクトの任命状とトロフィーを授与した。ムン・チュンホJDC開発本部長は、「伊丹潤氏と済州英語教育都市を世界最高水準の建築的芸術性を兼備した都市に開発するため都市建築管理などの協議を経て最終的に選任した」と語った。

 日本の安藤忠雄氏やスイスのマリオ・ボッタ氏ら世界の著名建築家も候補にあがったとされるが、伊丹氏は「済州の自然風土と伝統的な独創性を国際的な感覚で表現し、済州英語教育都市を世界的な建築都市につくれる建築家」と評価された。

 マスター・アーキテクトというのは、各部門を担当する建築家を束ねる総括建築家のことで、設計・建築に関してあらゆる権限をもつ最終決定者だ。オーケストラで言えば指揮者、映画で言えば監督に当たる。これまで韓国での都市開発プロジェクトでは、各部門の統一性がとれない乱開発的なケースが少なくなかった。これをシステム的に予防しようというもので、韓国都市開発プロジェクト事業の中で初めてのケースとされる。

 済州道は2001年に国際自由都市に指定され、観光・リゾート・ビジネス、金融、教育の機能を持つ21世紀東北アジアの中心都市をめざしている。今回の済州英語都市建設プロジェクトは、済州特別自治道の西帰浦市大静邑一帯の東京・杉並区の面積を上回る37平方㌔㍍に韓国英語教育の拠点をつくろうというもの。海外留学・語学研修に行く小中高生に韓国内でも国際的水準の教育機会を与えると同時にアジア圏の海外留学生も誘致する計画だ。2011年に小中高校が1校ずつ開校する予定。事業が完了する2015年まで国際学校12校(小中高)と外国教育機関(大学、大学院)、英語教育センター、教育・文化・芸術施設、住居及び商業施設などが建設される。すでに英国の名門大学の誘致も決まったという。


◆世界に例のないユニークな都市に 伊丹 潤氏の話◆

 「今回の任命は建築家としてミラクル(奇跡)だ。名誉ある仕事であり、同時に責任感の重い仕事だと痛感している。壮大な英語教育都市建設のプロジェクトとして世界が注目しており、建築家冥利につきる。今回が私の建築の最後の作品になるかも知れない。そんな覚悟で最善を尽くしたい。初めて建設現場を回って見た瞬間、済州の強力な土地の勢いと香気を感じた。そんな済州だけのオリジナリティーを持った世界的な建築物を創るのが私の願いだ。世界にないユニークな都市にしたい」