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2009/01/09

<在日社会>読書・韓国生活の魅力を語る

  • 読書・韓国生活の魅力を語る

◆「ボクが韓国離れできないわけ 愉快な韓国生活!!」(晩聲社、黒田勝弘著、288㌻、四六判、1500円)

 1978年に延世大学に語学留学して以来、30年以上も韓国をウォッチングしている著者(現・産経新聞ソウル支局長)が、毎日の生活で出会う言葉・食・花・歌・街・魚などについてユーモアを交えて綴っている。

 著者は1971年に初めて韓国を旅行した時、韓国人が意外にネアカで親近感をもって接してくれたことに驚いたという。韓国および韓国人について、「似て非なるもの」あるいは、同じようだが違う、違うようで似ている「異同感」の面白さや新発見が、韓国離れできない理由の一つであると語っている。

 本書は本紙に15年にわたり連載されたエッセイを単行本化したものである。

◆「竹島密約」(草思社、ロー・ダニエル著、280㌻、四六判、1700円)

 「竹島・独島問題は、解決せざるをもって、解決したとみなす」。1965年の日韓基本条約締結直前、最大の難問であったこの島の領有権をめぐって両国間でこのような密約が交わされた。

 密約が成立した理由は、日本の陸軍士官学校出身で明治維新を模した革命を遂行する朴正煕政権と自民党の首脳が、「悩みを共有できる文化」を持っていたからだと著者はいう。

 著者はソウル生まれの韓国人。日本人政治家と関係者の回想録や覚書、存命する人たちの証言が数多く紹介されている。

◆「この子らに民族の心を 大阪の学校文化と民族学級」(新幹社、朴正恵著、235㌻、A5判、2000円)

 朝鮮半島にルーツを持つ子供たちを対象に、祖国の言葉や歴史、文化を学び、同じ境遇の仲間と触れ合うことで民族的矜持を育む場として設置された民族学級。現在、大阪府内の約180校(大阪市内の105校含む)に設置され、夏期学校などの民族文化の集い、学習交流会が活発に開催されている。

 30年以上にわたって、民族学級に携わってきた著者らの取り組みや、日本における民族教育の歴史的な歩みや時代的背景を知ることができる貴重な資料と言える。