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2010/03/12

<在日社会>在日の鄭忠和・鹿児島大教授、和温療法を開発

  • 在日の鄭忠和・鹿児島大教授、和温療法を開発

                     鄭 忠和 教授

 在日2世の鄭忠和(チョン・チュンファ)・鹿児島大学大学院医歯学総合研究科循環器・呼吸器・代謝内科教授は、慢性心不全などの治療に有効な「和む温度での全身療法」=「和温療法」を独自に開発して、世界の医師から注目されている。

 鄭教授は73年に鹿児島大学を卒業。心臓専門医を目指して、東京大学、米UCLAで学んだ。医学を志したのは、両親の強い希望だったという。

 1989年に、鹿児島大学付属病院霧島リハビリテーションセンターに勤務。重症の心不全の患者が、「死ぬ前に一度温泉に入りたい」と願っているのを見たのが、「温熱療法」を研究する契機となった。

 水圧と心臓への負荷などについて研究を重ね、ついに、慢性心不全・閉塞性動脈硬化症・慢性疲労症候群などの難治性疾患に「温熱療法」が効果をもたらすことを明らかにした。

 これまでの「温熱療法」は、「がんに対する高熱での局所療法」として認知されていたが、鄭教授が取り組んだ「温熱療法」は、「和む温度での全身療法」で、内容は全く違う。そこで、「和む・温もり療法」すなわち「和温療法」と鄭教授は命名した。温室60度に保たれたサウナ治療室で15分ほど過ごし、出た後は30分ほど安静にして、水分を補給する。これを症状に応じて週3~5回ほど行う。

 この「和温療法」は、日本心臓病学会誌および米国心臓病学会誌に論文が掲載され、瞬く間に国内的にも国際的にも認知された。

 20世紀後半に発展した外科手術、放射線治療、科学療法、移植療法は難治性疾患の治療に貢献してきたが、これらの治療法は患者に苦痛と我慢を強いる。これに対して「和温療法」は、安全で副作用が無く、患者の気分を和ませる。しかも経済的で、重症患者にも安全で安心に使用できるやさしい治療法である。

 鄭教授は、「一日も早く保険医療として承認され、性別や年齢を問わず、多くの難治性疾患患者の助けとなることを念願している。在日の次世代は、在日に生まれたハンディキャップを乗り越え、目標を持って進む大切さを知ってほしい」と話す。