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2010/06/25

<在日社会>映画で語る韓日関係・相互理解進める作品を

  • 映画で語る韓日関係・相互理解進める作品を

    金鍾元氏㊧と内海愛子氏

 歴史映像シンポジウム「映画で語る韓日関係の深層」がこのほど、東京・四谷の韓国文化院で開催された。韓日の一般市民と歴史研究者及び映画関係者が集まり、映画を通して両国の過去と現在、未来を語り合う企画だ。

 映画『愛と誓ひ』(45年)、『ホタル』(01年)『愛の黙示録』(95年)の3本を上映後、金鍾元氏(キム・ジョンウォン、映画評論家)の「映画で見る韓日関係の葛藤と和解」、内海愛子氏(早稲田大学大学院客員教授)の「国策映画に描かれた内鮮一体」の講演が行われ、その後呉徳洙氏(オ・ドクス、映画監督)、前田憲二氏(映画監督)、高柳俊男氏(法政大学教授)、南相九氏(ナム・サング、歴史研究員)を加えたシンポジウムが行われた。

 金鐘元氏は、「『愛と誓ひ』は、特攻隊を志願する青年の物語で、植民地支配に利用された映画だ。解放後は抗日映画が数多く作られ、反日意識が高まった。60年代に入り、韓日国交回復への動きが出ると、62年のアジア映画祭で日本映画が5本上映された。また日本の青春映画に影響を受けたと見られる青春映画がその後公開されるようになった」と述べ、「95年に制作された『愛の黙示録』は、解放50年を記念した韓日合作映画だが、日本で制作されたため韓国での公開は実現しなかった。その後98年の日本大衆文化開放で日本映画上映が実現した。日本では『ホタル』のような朝鮮人特攻隊員の苦悩を描いた映画も作られるなど、時代が大きく変化した」と語った。

 内海愛子氏は、「大東亜共栄圏がうたわれた時代背景を考えながら、当時の国策映画を分析する必要がある」と話した。

 高柳俊男氏は「古い映画など韓日が協力して、調査・収集・保存・公開できるよう、共同作業に取り組んで欲しい」と訴えた。呉徳洙氏は、「映画人もマスコミもナショナリズムに取り込まれた時代を、今一度総括することが大切だ」と訴えた。

 金鍾元氏は最後に、「支配から対立、そして和解を経て、今後は歴史を見つめ直し、平等な関係を構築するための一助になる映画が作られる時代になってほしい」と締めくくった。

 参加者からは、「在日が登場する映画もこれまで多く作られたが今後さらに、在日の未来を考える映画が出来れば」との感想が寄せられた。