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2010/08/27

<在日社会>在日3世の映画監督が活躍

  • 在日3世の映画監督が活躍①

                      李 相日監督

  • 在日3世の映画監督が活躍②

                      呉 美保監督

  • 在日3世の映画監督が活躍③

                     李 闘士男監督

 在日3世の映画監督の活躍が目立つ。李相日監督(リ・サンイル、36)は芥川賞作家・吉田修一原作の『悪人』を映画化、呉美保監督(オ・ミボ、32)は宮崎あおい、大竹しのぶ主演で『オカンの嫁入り』を作った。両作とも9月全国公開される。また李闘志男監督(リ・トシオ、46)は今春、『てぃだかんかん~海とサンゴと小さな奇跡~』『ボックス!』を発表、『ボックス!』は7月に韓国の映画祭でも公開された。
 
 李相日監督は新潟県出身。横浜に移住し、小学校から高校まで朝鮮学校に通った。日本映画学校卒業制作作品として、朝鮮学校を舞台にした『青~chong~』がぴあフィルムフェスティバルでグランプリなど4部門獲得し、プロの映画監督の道に進む。

 『フラガール』(06年)で第30回日本アカデミー賞最優秀作品賞とキネマ旬報ベストテン邦画第1位ほか、その年の映画賞を総なめにした。

 新作『悪人』では、妻夫木聡、深津絵里の人気俳優とタッグを組み、ある殺人事件をめぐる人間群像を見事に描き出している。李監督は、「これ以上やれるところはないというぐらい、やったつもり」と話す。

 呉美保監督は三重県出身。大阪芸術大学卒業後、スクリプターを経て、自らが脚本を書いた『酒井家の幸せ』で監督デビューし、「サンダンス・NHK国際映像作家賞/日本部門」受賞した。『オカンの嫁入り』は監督2作目となる。再婚を宣言した母と、それを受け入れることが出来ない娘、2人の女性を描いた心温まる物語だ。

 呉監督は、「普遍的な母と娘の愛情を描いた。大竹さん、宮崎さんの真摯な役作りには感心した。これからも様々な家族の姿、きずなを描いていきたい」と述べ、「在日は家族の結びつきが濃いと思う。いつか在日の家族をテーマに映画を撮りたい。在日に生まれたからこそ、面白い経験をしている」と強調した。

 李闘志男監督は大阪出身。日本大学芸術学部卒業後、テレビディレクター、ドラマ演出、映画監督の道に進んだ。『お父さんのバックドロップ』(04年)が初監督作品で、08年にはヒット作『デトロイト・メタル・シティ』を発表。

 7月、韓国・富川で開かれた富川国際ファンタスティック映画祭に『ボックス!』を出品した。ボクシング部に在籍する2人の高校生の友情を描いた作品で、「人を信じる大切さを伝えたい。観客が映画を見て元気になってもらえればうれしい」と語った。

 映画・ドラマ業界ではほかに、脚本家として活躍する李正姫(イ・ジョンヒ)もいる。東京生まれで法政大学文学部英文学科卒業。最近では、テレビ朝日ドラマ『科捜研の女』の脚本を担当している。