ここから本文です

2013/06/07

<在日社会>近畿産業信用組合・企業ガバナンス強化へ

  • 近畿産業信用組合・企業ガバナンス強化へ

    先月21日の会長解職会見

 近畿産業信用組合(本店・大阪市)は、3日に臨時総代会を開き、5月21日の定例理事会で会長職を解かれた青木定雄(兪奉植、84)と、副会長職を解かれた弟の青木秀雄氏(76)の常勤理事2人を非常勤理事へ降格する議案を、賛成多数で可決した。来年6月の総代会で非常勤理事も辞めて経営から退くことになる。同組合は日本最大の「地域信用組合」として、今後、「企業ガバナンス(統治)を強化した企業運営」(大本崇博理事長)を進めていく。

 この日の総代会は、混乱を避けるため非公開で行われた。総代209人の約6割となる122人(委任状78人含む)が出席し、ほとんどが青木定雄氏らの解職に賛成した。約50分ほどで会は終了した。

 大本崇博理事長が、理事会での動議と同じく、「組織の意思決定過程を無視して、青木定雄氏の三男の青木義明副理事長(48)を理事長に就任させようとする世襲人事で、組合の私物化を図ろうとした」と、降格の理由を説明した。

 さらに大本理事長は、「会長から(息子に譲りたいと)理事長の辞任を迫られた。会長のこれまでの功績は大きいが、他に方法がなく(解職という)苦渋の選択をした」と、参加者に理解を求めたという。

 解職された青木定雄氏は、タクシー大手「エムケイ」の創業者として知られる。99年に債務超過だった京都シティ信用組合(京都市)の支援に乗り出した。その京都シティ信組は2001年、経営破綻した大阪商銀を譲り受けて近畿産業信組になり、会長職に就いた。

 2001年から12年間、同信組の会長として経営規模拡大に努め、13年3月末には預金量1兆2054億円を達成するなど、日本最大の信用組合に育て上げた。しかし、2004年6月に近畿財務局から、経営体勢の問題などについて業務改善命令を受けた。その改善命令は9年過ぎた現在も続いている。

 大本理事長は、「近畿財務局から企業ガバナンスが著しく弱いという指摘を受けてきた。今後は企業ガバナンスを強化し、透明性の高い組織運営を行っていく」と、会見で表明している。

 「役員の法令遵守意識の徹底、経営姿勢の明確化、理事会の機能強化、監事機能充実・強化など、近畿財務局から指摘された改善点を実践していくことが今後大切になる」と、関係者は話す。