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2003/12/12

<トピックス>故高円宮殿下が見た韓国 -第30回-

  • 高円宮妃殿下

                     高円宮妃殿下

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     慶尚南道・梁山市のバードウォッチングで見かけたハグロトンボ

◆ ハグロトンボ ◆

 慶尚南道・梁山市のバードウオッチングで見かけたハグロトンボ(写真:上)

 ちょっと分かりづらいかもしれませんが、これはハグロトンボの写真です。慶尚南道梁山市の法基水源地でバードウオッチングをしていたら何匹かアジサイのあたりを飛んでいました。

 オスは光沢の強い青緑色の胴体と比較的大きく真っ黒な翅(はね)をもっています。メスは茶色がかった黒い胴体にオスほど光沢のない黒い翅の持ち主です。ともに優雅なちょっと蝶々に似たふわふわした独特な飛び方をいたします。この日は韓国でハグロトンボに出逢えたのがうれしくて、宮様にお願いして撮っていただきました。

 ハグロトンボは私が子供の頃はどこにでもいたカワトンボですが、最近は以前より見なくなってしまったような気がいたします。専門家の話では比較的汚れた水質にも耐えられる種ではあるものの、環境の変化で姿を消すことも多いそうです。植物の組織に産卵するため、河川改修でヨシなどがきれいに刈り取られたりすると、いなくなってしまう、ということでした。

 以前に沖縄でもハグロトンボを見て、同じように写真を撮っていただきました。今回取り出してきてじっくり見比べてみたら、似ているのですが、翅の付け根のところも青く光っており、リュウキュウハグロトンボという別な種類だ、ということがわかりました。こちらは希少種で沖縄とその周辺にだけ分布しているのだそうです。

 美しい金属的な光沢を持ち、オハグロトンボと言われるくらい翅が黒いので、私たちも気づきましたが、本当はもっともっとたくさん同種類の昆虫、鳥、哺乳類が韓国と日本に分布しているのでしょうね。自分にとって次の新たなる発見が何であるか考え出すと、ちょっとワクワクしてしまいます。(高円宮妃殿下)