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2004/02/13

<トピックス>故高円宮殿下が見た韓国 -第37回-

  • 高円宮妃殿下

                     高円宮妃殿下

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    湖巌美術館の前庭で記念撮影。右から洪羅喜館長、高円宮殿下、
    高円宮妃殿下、李實・サムスン文化財団副館長

◆ 湖巌美術館 ◆

 湖巌美術館の前庭で記念撮影。右から洪羅喜館長、高円宮殿下、高円宮妃殿下、李實・サムスン文化財団副社長(写真:上)

 三星電子の工場を見学した後、30分弱の所にある「湖巌美術館」を訪れました。門から美術館まで細長い池と小川の横を通ってかなり移動したように記憶しております。

 途中、所々に立っているチャンスンや花の咲く樹木を楽しみながら、それが予定に書いてある「庭園」だと思って眺めていました。その後に美術館の駐車場に到着。李健熙三星電子会長夫人の洪羅喜館長が出迎えて下さり、美術館へとご案内いただきましたが、実はその時通ったのが「熙園(ヒウォン)」という韓国の伝統的な庭園でした。

 現在、このような庭園をもっているところは少なくなってきたそうです。自然をそのまま楽しめるように造ること、場合によっては自然より自然に見せる、と言う発想は基本的なところでは日本の庭園の造り方とそれほど変わらないのかもしれません。ただ日本はひとの手が入っているのがわかるような造りなのに比べて、韓国の庭園は美しくても、それがあたかも自然のままであるかのように見せるために多大な努力が払われているのではないかと思います。もしかするといけばな(お流派によっても違いますが)にある発想かもしれません。

 この写真は美術館を背に洪羅喜館長と李實副社長と撮ったものです。改めて写真を見て発見もありました。昌徳宮の秘苑と同じような自然石を積んで造った塀や四角い池が「地と陰」丸い島が「天と陽」を表す「方池円島」の池かと思っておりましたら、島が丸くないようです。今度その理由を伺っておかなければなりませんね。

 美術館ももっとゆっくり拝見したかったのですが、私たちがちょうど前の視察先の工場で長居をしすぎた為に、ちょっと駆け足で見ることになってしまいました。もともとは三星の創業者イー・ビョンチョル氏がご自分の蒐集されたものを寄贈されてつくられた美術館だそうです。国宝や宝物に指定されている名品を中心に一階と二階を案内していただきましたが、特に青磁と白磁は印象に残っています。

 学芸員の方もたくさんあるものの内どれを見せてくださるか決めるのは大変だったのではないでしょうか。最後にとても立派な階段を下りてきて、芳名録に署名させていただきましたが、書画室で美しい書を拝見した直後に「字を書く」のはあまり気の進むものではありません。いつもに増して自分の字がひどく書けているように思いました。(もしかするといつもと同じなのかもしれません。)

 韓国の美しい庭園、建物、そして数々の美術品を楽しみ、また以前からお合いするのを楽しみにしていた洪羅喜館長とお目にかかれてとてもすてきなひと時でした。お天気もすばらしく、窓を開けて、コウライウグイスの声を聞きながら私たちは美術館を後にいたしました。(高円宮妃殿下)