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2004/01/23

<トピックス>故高円宮殿下が見た韓国 -第35回-

  • 高円宮妃殿下

                     高円宮妃殿下

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    日本人の旅行者たちと和やかに交歓される高円宮殿下と妃殿下

◆ 日本の旅行者たち ◆

 日本人の旅行者たちと和やかに交歓される高円宮殿下と妃殿下(写真:上)

 慶州市の市街地にある大陵苑(デルンウォン)で会った日本からの旅行者たちと撮った写真です。なんとも楽しそうな一群でしたが、話を聞いてみると、日本でワールドカップのチケットが手に入らなかったので韓国の試合を見にきた、というサッカーファンでした。蔚山と釜山での試合を観戦するツアーで、試合は夜にあるので日中は観光と韓国料理を楽しむことができる、と嬉しそうに語ってくれました。「記念に写真を撮ってもらってもいいですか?」とお聞かれになって、宮様は「もちろん、いいですよ」と気軽に応じられ、「日本代表の応援もよろしく」とサッカー協会名誉総裁として一言。最後に「せっかく来られたのだから、できるだけ韓国の方々と触れ合って、日韓友好のために皆さんも努めてください」とおっしゃっていらっしゃいました。

 ちょうど天馬塚(チョンマチョン)から出て来たところでなのですが、よく考えたら逆方向から古墳を背景にとってもらうべきだったのかもしれません。この天馬塚は円墳で、内部が展示館になっており、出土品や古墳の構造がジオラマで公開されています。円墳は高さ27・2㍍、下部の直径が47㍍、「積石木槨墳」と呼ばれる構造で、5-6世紀に築造されたとのことでした。出土品には金製の装飾品、勾玉のような玉製品、武具、馬具、土器などがあり、被葬者が豪華な金冠をまとっていたので、新羅王もしくはその縁者なのではないかと考えられている、とのことでした。

 「積石木槨墳」の構造がとても独特でしたので、見学したときに簡単にスケッチしました。木棺が中央に置かれていて、それを木郭でまず囲み、そのまわりに大きな石がたくさん積み上げてありました。高さ4・5㍍ほどです。更にその上に粘土を貼りつけ、土砂で全部を覆っています。新羅の古墳はほとんど盗掘されていないとのことでしたが、かなり厳重な造りになっていたようです。

 さて、この写真で一緒に写っている方々とは、この翌日チャガルチ市場を出るときにもお会いしました。若い方から中年の方までサッカー好きが集まっての旅行、とても楽しそうで、新しい友情や発見があったのではないかと思います。蔚山でのデンマーク対ウルグアイ戦も一緒に観戦し、その晩釜山でのパラグアイ対南アフリカ戦も一緒とのこと。お話をするうちに、なにかちょっと共に韓国を旅した、という仲間意識が芽生えた感じがいたしました。(高円宮妃殿下)