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2009/08/14

<トピックス>韓日交流まつりに向けて                                                           権 哲賢 駐日本国大韓民国特命全権大使

  • 権 哲賢 特命全権大使

    クォン・チョルヒョン 1947年釜山生まれ。延世大学校政治外交学科、同行政大学院卒、筑波大学都市社会学博士取得、東亜大学校教授、第15~17代国会議員、韓日議員連盟副会長兼幹事長などを経て、2008年4月から駐日本国大韓民国特命全権大使。

 9月19日から韓日交流まつりが初めて東京の六本木ヒルズを主会場に4日間開かれる。今回の交流まつりの影の司令塔ともいうべき権哲賢(クォン・チョルヒョン)・駐日韓国大使に成功へ向けての秘策などを聞いた。

 ――東京開催の意義をどのように考えるか。

 韓日交流まつりは、ソウルでは2005年の韓日友情年以来4度行われてきたが、今回は韓日双方が東京とソウルでの同時開催に合意した。

 現在、韓日両国の関係は、年間500万人を超える人的往来のみならず、国民同士が相互の文化や料理、言葉に対する関心も高まるなど、情緒的な距離も過去に比べ遥かに近づいている。 また、李明博大統領が就任して以来、計9回の両国首脳会談を開き、韓日間のシャトル外交が本格化しており、現在の韓日関係は、最も良好な関係を維持している。

 しかし、韓日併合100年目を来年に控え、困難な問題が控えているのも現実である。駐日大使として、このような良好な韓日関係を一層発展させていくためには、国民間の交流増大のための場づくりが大切だと考えた。大使館では、日本で韓日祭りフォーラムを開催することを本国政府に建議し、本国の外交通商部、文化体育観光部、農林水産食品部で今回の行事を支援し、開催可能となった。

 今回の韓日交流まつりは、歴史上初めて日本で開催される大規模な韓日まつりだが、私が今回のまつりを開催すべきだと考えた点は大きく3つあげることができる。

 一つは過去100年の歴史の痛みを克服して新しい韓日関係の跳躍を実現する契機を準備しようと思ったことだ。来年が韓日併合100年となるだけに、これを克服して新たな100年に向かって進む雰囲気を作りたかった。二つ目は、日本における韓流ブームが最近になって停滞していると感じ、韓流をより広めることで、今後の韓日関係に肯定的な役割を果たせるようにしたかった。今回の祭りを通じて、大衆文化だけでなく、韓国文化の新しい分野に対する韓流ブームを起こし、韓日関係をより前向きな関係に導いていく契機を作ってみようと思った。三つ目は、日本に暮らす同胞や在日韓国人が、韓国に対する自負心を持てる契機にしたかった。韓国民と日本国民が一緒に交流する場を作れば、互いに親近感を感じることができ、互いを理解する情緒的な共感を提供できる機会となるだろう。

 ――テーマは「共感」だが、どんな願いを込めたか。

 アジアという大きな範疇の中で、韓日両国が情緒の共感を通じて異質感の距離を縮め、文化を通じて友情を分かち合い、互いの文化を理解し、共感しようという意味が込められている。

 ――パレードや六本木ヒルズでの仮面踊りなど盛りだくさんの行事だが、最もアピールしたい点は何か。

 9月20日午後4時から表参道で開催するパレードは、開幕前の行事として行われる。よさこいアリランの公演は、これまで4年間にわたってソウルで開かれた韓日まつりフォーラムを契機に作られた公演で、ソウル市民の好評を得たよさこいが、今回の韓日交流ファンタジーパレードの先頭に立つ。その後ろを韓国の峰山仮面劇隊、「王家の外出」というタイトルの宮中衣装パレードが続く。そして、9月20日17時から六本木ヒルズアリーナで行われる開幕式では、韓日同時開催の意味を込めたイベントとしてソウル会場と同時進行する韓日市民が一つになる円舞「カンガンスルレ」が繰り広げられる。

 ――今回の交流まつりでは、キムチフェスティバルも開かれる。韓国は食の世界化を掲げているが、どんなキムチ効果を狙っているか。

 現在韓国政府は「韓国料理の世界化」を重点政策課題として推進している。韓国料理の中でも代表的なものがキムチだ。今回のキムチフェスティバルでは、さまざまな種類のキムチを紹介。また、キムチの歴史や優秀性を紹介し、キムチ名人がキムチを漬け、300種類を超えるキムチの中から50種類を厳選し、キムチの効能や効果を説明する。国内外のキムチ研究者、韓国のキムチ関連団体、産学が参加する国際会議を通じて韓日中キムチ産業の現状やキムチ文化について議論される予定だ。

 ――今回のような大衆的レベルの交流は相互理解にもプラスになると期待されるが、どのように考えるか。また、韓日間には経済、文化、スポーツなど、さまざまな交流や協力がなされている。今回の交流まつりを契機に韓日交流・協力のあり方について提言を。

 昨年10月、日本の内閣府が発表した「外交に関する世論調査」の結果によれば、韓国に対して親近感を感じるという回答が57・1%に達し、1978年の同調査開始以来、最も高い水準となった。日本に対して親しみを感じるという韓国人の比率は、2005年7月ソウル新聞と東京新聞の共同調査では28%だったのに対し、08年1月の朝鮮日報と毎日新聞社の共同調査では37%に増加した。「韓流」の拡散により、韓国に対して日本人が持つイメージも大きく改善され、韓国では「日流」が広まるなど、韓日関係が一部の困難はあるものの、国民的レベルでは持続的に発展してきていたといえる。 また、首脳会談のシャトル化が本格化し、全般的には未来指向的で成熟したパートナー関係に発展していきつつあると評価することができると考える。

 一方、韓日両国間には歴史問題や独島(竹島)問題など、韓日友好協力関係を一瞬にして揺るがすデリケートな問題で困難を来たすことも直視しなければならない。

 このような行事を通じて今まで積み重ねた韓日友好協力関係が韓日間、世代間の壁を越え、文化を通した交流が可能となるよう継続して成長していくことを願い、経済・文化・スポーツなど、さまざまな分野でも持続的な交流を通じて韓日両国国民の胸中に未来へ向かう信頼と相互理解が強く根を下ろすことを希望する。

 ――今後の交流まつりについて、ソウル、東京だけでなく地方都市での開催も考えられるが、来年以降の開催についての計画は。

 今回日本で開催される初の行事が、来年以降も持続的に量的・質的に成長した韓日友好の祝祭に成長していくことを期待している。その過程において、ソウル開催の韓日交流まつりとの同時開催が良いのか、あるいは韓国と日本で隔年開催が良いのかについても、さまざまな側面から検討する必要があると考える。