ここから本文です

2009/10/30

<トピックス>言葉の壁越え相互理解深める

  • 言葉の壁越え相互理解深める①

               金浦外国語高校1年 林 慧漣さん

  • 言葉の壁越え相互理解深める②

            慶應義塾ニューヨーク学院3年 田中 一成さん

  • 言葉の壁越え相互理解深める③

            中央大学附属高等学校3年 木藤 裕美子さん

  • 言葉の壁越え相互理解深める④

                 楽生高校2年 宋 鉉冀さん

 「第13回韓日・日韓高校生交流キャンプ」が、韓日・日韓経済協会(趙錫来会長・飯島英胤会長)の主催で7月28日から8月1日、京畿道竜仁(ヨンイン)市・錦湖(クムホ)アシアナ人材開発院)で開催された。参加者は韓国側44人、日本側44人の計88人。韓日混成の10チームをつくり、5日間寝食を共にしながら、両国の文化や観光をテーマに新事業の企画を考え、発表会を行った。このほど発刊された報告書の中から、両国学生4名の感想文を紹介する。


◆ 日本人の情緒を実感 ◆ 
金浦(キンポ)外国語高校1年 林 慧漣(イム・ヘリョン)さん(写真上から1人目)

 交流キャンプを一言で表すとしたら何が良いだろうか。私は「乳化剤」に喩えたい。乳化剤とは、互いに混ざらない2種類の液体を混合する第3の物質のことだ。水と油のように、韓国と日本は過去のつらい歴史を清算できず、未だに相容れないままだ。今でも、日本を好意的に見ようとしない無意識が私たちの内面に潜在している。

 私は子供の頃、独立記念館でふざけ合っている日本の学生を見たことがある。そのせいか、日本人に対する偏見と誤解がひどかったのだが、今回会った日本の子たちは、あんな「日本人」ではなかった。言葉は通じなくても、互いに声をかけあいながら何とか会話しようと努め、議論の場では懸命に意見を出し、あらゆる活動に積極的に参加しながら、ヒト対ヒトとして心を開いてお互いを見つめ始めた。今回のキャンプは、定説では混ざりあえない水と油を混ぜることのできた、文字通りの文化交流の場となった。

 4泊5日の間、一緒に市場調査を行い、夜を徹してプレゼンテーションを準備し、話をすることで相手を知り、理解しようと努める様子、そして助け合い、協力していく過程で、お互いの心が固いひもで結ばれて行く様子を見ながらそう感じた。最後の日、別れを惜しんで抱き合い、手紙を書く約束をして流した涙がその証拠だ。日本への留学は、私の子供の頃からの夢であり現在の目標だ。今回、日本に行ったわけではないが、日本の友達と共に過ごしながら断片的にではあるが、日本の情緒を感じることができた。日頃は接することの出来ないビジネスというテーマに取り組み、収益性、資金、共益性などを考慮し、事業アイテムを構想する活動は新鮮で有益だった。


◆ 徹夜作業で友情育む ◆ 
慶應義塾ニューヨーク学院3年 田中 一成さん(写真上から2人目)

 羽田空港に向かう電車の中で、これからの4泊5日に期待を寄せている自分がいる半面、新しい出会いを心配している自分がいた。しかし韓国のメンバーは友好的であった。私は中学時代の3年間をソウルで過ごしたので、少しだけ分かる韓国語を駆使して彼らと会話を試みた。しかし言葉は単なる道具でしかなく、言葉の壁を越えてお互いに理解しあうことが出来ることが分かった。話し始めると以前からの友人だったかのように気軽に笑いあうことができ、様々な隔たりやギャップを埋めて友好を深めることができた。

 事業アイテムについての討論が始まると、真剣な眼差しで自分の意見やアイデアを熱心に主張する学生が多く、私は圧倒された。討論は深夜2時まで続いた。私たちのグループは『サービス業』がテーマで、「旅行ガイドの育成と派遣」を事業にすることにした。私たちの考えた旅行ガイドは従来のガイドと異なり、観光案内はもちろん通訳や介護もする。高齢者や体の不自由な方でも安心して海外旅行ができるようになるというものだ。プレゼンテーションの準備のために2日間も徹夜し、寝る暇も惜しんで取り組んだ。メンバー全員で何度も繰り返して練習した。賞は取れなかったが、グループ全員が納得できるプレゼンテーションになった。とても嬉しく、最高の収穫だった。

 4泊5日のキャンプも終わってしまえば非常に短い期間に感じられ、少しもの足りなく感じた。一緒に過ごした友人との関係は時間の長さでは無く、いかに充実した時間を共有できたかが大切だと思った。最後は泣きながら別れ、今でもその記憶が鮮明に蘇る。この体験は、いつの日か日韓交流の懸け橋となるために役立つことになると確信する。


◆ 韓国語の必要性痛感 ◆ 
中央大学附属高等学校3年 木藤 裕美子さん(写真上から3人目)

 キャンプを終えて帰国して今思うこと。皆に会いたい、そしてもっとたくさん話をしたい。心地良い疲労感を伴う有意義な5日間だった。

 事業アイテムの方向性に頭を悩ませ、教育問題を熱く語り、睡魔に襲われながら、夜通し事業発表の練習をする。「ボーイフレンドはいるの?」と聞かれて照れ、お菓子やスナックが好きで、トランプに夢中になり、たわいもないことに笑いころげ、学校の愚痴をこぼす。皆、国籍に関係なく、同じように毎日を生きている仲間なのだということを強く感じた。

 仲間たちと共に過ごした時間の中で、私にとって最も刺激的だったのは、事業アイテム討議の時間だった。私たちの事業カテゴリは「教育」。現在の教育に対する問題意識から始まって、最終的に私たちの事業アイテムに至るまで、様々な意見が飛び交い、熱く長い議論が行われた。この時間を通して、お互いの色々な面や考え方を知ることができ、距離がぐっと縮まった。

 ただ、議論の中で悔しい思いをしたことがある。それは言葉だ。メンター(通訳・指導者)がいるのでお互いに全く意味が分からないということはない。しかし、話が長くなったりそれたりすると要旨だけを伝えてもらうことになるので、細かいニュアンスは伝わりにくい。英語も達者でない私は、自分の無力さにもどかしさと悔しさを感じずにいられなかった。

 さらに、私は韓国の学生たちの言語能力に驚き、脱帽した。第二外国語として、日本語を選択しているという私のチームの3人とは、日常会話は本当に全く問題なく進行したのだ。日本語と英語以外の言語なんて挨拶程度しか分からない私は、会話をしながら、羨望のまなざしを送っていた。私は次に会うときまでに絶対に英語と韓国語を流暢に話せるようになってやると誓った。


◆ ルームメイトの思いやりに感動 ◆
楽生(ナクセン)高校2年 宋 鉉冀(ソン ヒョンギ) さん(写真上から4人目)

 私たちのチーム名は「キャンプ」。このチーム名に込められた意味は「私たちの心は一つ」ということだ。チーム名のとおり、私たちはお揃いのTシャツを着て、団結した姿を見せた。日頃から、日本人は質素な生活が身についていて、非常に思いやりがあって親切だと聞いていたので「はたして本当かな?」と思っていたけれど、本当だった。

 寝坊の僕が、モーニングコールが鳴っても起きられない時、同室のタカユキはいつも早起きしていて、僕を優しく起こしてくれた。それでも起きられないと、タカユキは、僕が起きるまで、立ったまま、じっと待っていてくれた。また、彼は僕の家族にもプレゼントを持ってきてくれた。そんな優しい、思いやりのある姿に触れて大きな感動を覚えた。

 また、彼らは本当に勉強熱心で、私たちが韓国語を喋ると、意味を聞いてきたり、何度も真似て言ったりして、しまいには応用して自分のものにしていった。その情熱を見ていて、驚きを禁じ得なかった。パーティーの時、各チームから一人ずつ前に出て踊るというコーナーがあったが、驚くべき事実があった。他のひとは気がつかなかったかも知れないが、全員、日本の子だったのだ。別に上手くなくても、いや、ただ立っているだけでも、自分から出ていくあの勇気!積極性!本当の楽しみ方を知っている彼らこそ、このキャンプの主人公ではないだろうか。

 韓国人は、過去のつらい記憶のために、端から日本を退けようとする傾向がある。でも、学ぶべきことは学ばなければならないと思う。そんな学びの姿勢を持った人がたくさん集まれば集まるほど、先進国への道のりはより近くなると信じて疑わない。

 今回のキャンプを通じて得たもの、気づいた点は本当にたくさんある。これまで気がつかなかったけれど、自分は相手に何か言われると、受け入れようとする受容の姿勢よりも先に、「相手はどこか間違っていないか」という攻撃的な姿勢、批判的な姿勢を取っていたという点。それに、自分はどちらかというと保守的だということも知った。また、自分は井の中の蛙だったということも感じた。今回のキャンプを通じて、より広い世界に触れることができたのは大きな収穫だった。