ここから本文です

2009/12/28

<トピックス>今年の韓国経済を占う                                                             韓国経済研究院 金 昌培 主任研究員

  • 今年の韓国経済を占う

    キム・チャンベ 1963年、江原道原州生まれ。経済学博士(西江大学)。米メリーランド大学招聘研究員などを経て、韓国経済研究院主任研究員。

 2010年の韓国経済の成長率は、昨年下半期以降の経済回復傾向が続くことで4%台に回復することが予想される。しかし、ドバイショックのような国際金融市場の不安材料が再燃する可能性や、為替のウォン高、金利と物価の上昇などで景気が冷え込む可能性もあり、必ずしも楽観できる状況ではない。韓国経済研究院の金昌培主任研究員に今年の韓国経済を占ってもらった。

 2010年の韓国経済の成長率は、昨年の0%台から4%台に回復すると予想する。世界経済の回復で昨年の成長率低下からの反転が期待される。しかし、5%台以上の高い成長を望むことは難しいだろう。

 まず今年の世界経済の成長率は2000~08年の平均成長率(4・1%)を下回る3・1%にとどまると予想される。ドバイショックのような国際金融市場の不安材料が再燃する可能性などを考慮すると、さらに下落する可能性さえある。

 国内的にも、急カーブを描くような景気回復は期待しにくい状況だ。金利が正常化(上昇)すると、家計部門のローン返済などの負担が増えるため、実体経済の回復速度は遅くなる。予算増加幅の縮小や減税政策の打ち切りなどにより、昨年のような政府の財政拡大による景気浮揚効果は期待しにくい。ウォンの対ドルレートがウォン高で推移する傾向を見せていることも輸出の回復を遅らせる要因になる。マクロ経済の改善に寄与した要因が、皮肉にも今年は成長を押しとどめる要因となる可能性が高い。そのほかにも世宗(セジョン)市の問題や、労働法改正をめぐる論争、地方選挙などが、経済心理を萎縮させる要因となりうる。

 需要部門を見ると、民間消費は雇用と給与の改善、ウォン高、資産価値の上昇など、09年下半期以降の回復傾向が続くだろう。しかし、金利と物価の上昇などが購買力を低下させるため民間消費の伸びは成長率よりも低くなる見通しだ。

 建設投資は民間部門での回復が遅れるほか、公共投資予算も道路・鉄道など社会間接資本(SOC)関連予算の凍結で減額が避けられない見通しだ。これにより建設投資は約1%台の低い増加率を示す見込みだ。設備投資は国内外の景気回復や、ここ数年間の低迷から抜け出すと予想される。ただし、原材料価格や金利の上昇、中小企業の構造調整や融資の回収などの否定的要因により相殺されるため、設備投資の伸びは1けた台にとどまる。

 今年の経常収支黒字は、09年の約420億㌦より大幅に縮小し、約150億㌦にとどまると予想される。輸入の増加率が輸出の伸びを上回り、商品収支の黒字幅が大幅に縮小するためだ。

 輸出は、世界経済の成長が例年を下回ると予想されるほか、ウォン高、先進国の消費回復の遅延などの影響により約10%前後の増加率にとどまる。しかし、消費と投資の回復により輸入物量が増加するほか、国際原材料価格の上昇により輸入単価も上がるため、輸入は約20%前後の増加を見せる。サービス収支は、ウォン高やサービス部門の競争力低下などにより赤字規模が再び拡大する。

 消費者物価は3%以内で安定すると予想される。緩やかな景気回復傾向により需要面での上昇要因には限界があるほか、ウォン高が進むことで原材料価格や原油価格などが下がり、消費者物価の上昇を抑える役割をすると見られる。

 一方、市場金利は政策金利の引き上げや、景気回復により上昇傾向を見せる。ウォン・ドルの為替レートは国際収支黒字の影響などにより、当面はウォン高ドル安で推移するだろう。

 世界金融危機が次第に終息に向かうとともに、グローバル市場を先取りするための企業間競争が激化することは確実だ。企業にとっては危機に備える「守り」ではなく、果敢な投資と攻撃的な経営モードに転換する時ではないかと判断する。