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2010/01/22

<トピックス>30大財閥今年計画・投資87兆ウォン、新規採用8万人

  • 30大財閥今年計画・投資87兆ウォン、新規採用8万人①

    30大企業グループ総帥らと懇談する李明博大統領(右端)

  • 30大財閥今年計画・投資87兆ウォン、新規採用8万人②

 韓国経済の今年最大の課題は雇用創出。政府は国家雇用戦略会議を新設、雇用創出に全力をあげると表明。これに応え、財界も「300万人雇用創出委員会」の新設を決める一方、30大企業グループが史上最大級の投資増大計画と新規採用計画を打ち出した。「雇用なき成長」という構造的な問題が深刻化している中、果たして政府と経済界の取り組みはどんな効果をもたらすだろうか。現状と対策を探った。

 雇用問題の重要性は、李明博大統領の新年国政演説で鮮明にされた。今年最も大きな国政課題は経済再生であり、その核心は雇用創出だ。これが政府の基本姿勢であり、経済閣僚トップの尹増鉉(ユン・ジュンヒョン)・企画財政部長官は、14日の危機管理対策会議で雇用創出に最重点を置くと強調した。

 財界もこれに積極的に呼応した。全国経済人連合会は15日、大韓商工会議所で李大統領を招いて「投資・雇用拡大のための30大グループ懇談会」を開き、今年の投資計画などを発表した。それによると、30大企業グループの投資規模は前年比16・3%増の87兆150億ウォン、新規採用人数も前年より8・7%多い7万9199人に達する。全経連関係者は「投資規模は、事実上過去最高になる」と語った。

 今年の経済成長率見通しは政府5%、財界4%。世界経済危機は脱したというものの、景気の先行きは必ずしも楽観できない。それだけに、財界の今回の投資・雇用計画は極めて意欲的だ。

 サムスングループを代表して出席したサムスン生命の李洙彬(イ・スビン)会長は、「今年はグループ全体で26 兆5000億ウォンの投資を行う。採用は約1万9000人を予定している」と語った。景気動向によってはさらに上積みする考えだ。投資額は、過去最高だった08年の27兆8000億ウォンに迫り、採用規模は昨年より4000人(26・7%)増える。サムスンの投資額は30大グループの3割を占める。

 現代・起亜自動車グループは、過去最大規模となる10兆5000億ウォンの投資を計画している。昨年の9兆4000億ウォンを12%上回る額だ。環境対策車の開発をはじめ、研究開発に4兆6000億ウォン、設備に5兆9000億ウォンを投資する。鄭夢九(チョン・モング)会長は「環境にやさしいグリーン成長事業に貢献できるよう努力していきたい」と述べた。

 LGグループは、昨年より28%増の15兆ウォン規模の投資計画を発表した。具本茂(グ・ボンム)会長は、「未来を準備するためにLGは環境にやさしい自動車関連核心技術に積極的に投資している。この事業は現在、世界的に初期段階なので、うまくいけば韓国企業が世界市場をリードすることができるだろう」 と述べた。

 SKグループは研究開発を中心に7兆ウォン以上の投資を計画。採用も昨年の1600人を上回る2000人規模を見込む。崔泰源(チェ・テウォン)会長は「昨年と一昨年は投資が減少したが、今年は08年水準はもちろん状況が好転すれば、もっと投資を増やしていくと語った。

 ポスコは企業買収資金を含め、昨年の約2倍の9兆3000億ウォンを投資する。ロッテも昨年より1兆ウォン以上多い3兆5000億ウォンを計画している。投資額はまだ未定のKTの李錫采(イ・ソクチェ)会長は、「韓国の若者たちの才能をソフトウェアコンテンツ事業に活用するように集中投資する計画だ」と語り、1兆2000億ウォンを投資するSTXの姜徳寿(カン・ドクス)会長は「新再生エネルギー事業に企業の多くのエネルギーを注ぐ。海外輸出基盤を確保する計画だ」と述べた。

 このほか、斗山、CJなど主要グループの大半が投資規模と採用人数を大幅に増やす計画だ。

 李大統領は懇談会の最後に「政府と個別企業が対座して話すことは世界のどの国にもない相互協力のモデルであると同時に韓国文化の強み」と述べた。


◆300万人雇用創出委新設◆

 財界が雇用創出に積極的に乗り出した。全国経済人連合会は14日の会長団会議で、「300万人の雇用創出委員会」の設置を決めた。趙錫來(チョ・ソンネ)・全経連会長が座長を務め、主要大企業の社長級が委員として参加する常設の組織で、中小企業代表と業種団体長も参加することになる。委員会は毎年40万人ずつ今後8年間300万人の雇用創出を目標に運営。年に6回ほど会合を開き、雇用創出策を論議する。

 雇用創出のため、同委は①労働市場硬直性の緩和②土地利用及び進入規制緩和③金融・税制支援など良質の働き口を作るための各種企業育成策を政府に政府に建議する。またサービス産業とグリーン産業プロジェクトのアイディアを提案する役割も担う。

 鄭炳哲(チョン・ビョンチョル)・全経連副会長は「各界が協力して努力すれば経済活動人口増加幅を40万人に拡大できる」と語った。

 全経連は、300万人雇用創出プロジェクトが成功すれば、現在34%に達する非経済活動人口比率を日本(26・2%)、米国(24・7%)ドイツ(24・1%)並みに下げることができると見ている。

 問題は、雇用創出が大企業レベルでとどまっては効果がない点だ。30大グループの雇用規模は全雇用の5・5%(約90万人)にすぎない。系統や下請け企業を含めるとその比率はもっと高くなるが、産業界全体に雇用拡散の動きが起こらないと効果は限定的にならざるを得ない。