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2010/09/03

<トピックス>新時代ひらく交流・協力 第1回 韓日高校生キャンプに参加して                                HISOFT 奇 秉泰 会長

  • HISOFT 奇 秉泰 会長

    キ・ビョンテ 1933年、韓国仁川市生まれ、ソウル大学卒。経営学専攻。釜山銀行大阪事務所所長、大韓空調(韓日合弁企業)社長を経て現在、HISOFT会長、韓国貿易協会理事、韓日協力委員会運営委員、韓日経済協会会員、PHP研究所友の会国際交流会副会長

  • 新時代ひらく交流・協力 第1回 韓日高校生キャンプに参加して

    熱心に意見を交わす韓日の学生たち

◆共同で新たな事業を構想◆

 第15回韓日高校生交流キャンプが8月3日から7日までの5日間、ソウルで開催された。韓日両国から各々50人、合わせて100人の高校生が参加した。キャンプの内容は、1班10人で混合チームを構成し、チームごとに韓日の文化、商慣習、最新の商品動向などを調査し、事業化の可能性を探して新しいビジネスモデルを企画・発表するというものだ。共同作業をしながら、両国の高校生たちが、お互いを理解し、相手の国の社会、文化、経済について深い関心を持つ契機をつくろうという意義ある交流イベントである。このキャンプは、将来の韓日経済界を背負って立つ高校生たちの活発な交流の場である。

 私は、各チームの発表を聞きながら、韓日合弁企業の韓国側CEO(最高経営責任者)として、日本側と共同で困難な経営環境を乗り切り、赤字企業を黒字転換させた経験を回想しながら、高校生の姿に無限の可能性を発見した。彼らはプロジェクトを推進しながら言語の壁をいとも簡単に越えた。韓国語、日本語、英語などを交えながら的確なコミュニケーションを行った。彼らは、共同でソウルの一角にある明洞地域を対象に、プロジェクト推進に必要な市場調査を行った。そして、その調査結果を新たな事業性の検討に反映させた。

 5~6世紀頃、百済国の商人と技術者たちは日本を往来しながら交流を深め、現存する世界最古の企業である建設会社(寺社仏閣専門)金剛組を設立(578年)し、発展させてきたという実績がある。両国の意思の疎通は昔も現在も国境を越えて十分に可能であり、そのことを今回、韓日の高校生交流キャンプで再確認することができた。

 高校生たちは白紙のキャンパスに絵を描くように伸び伸びとアイデアを出し合った。情報提供サービス、福祉・医療事業、地球温暖化を防ぐための環境ビジネスなど、現在私たちが直面しているテーマを取り上げ、その発想は困難な課題を解決しようというチャレンジ精神に溢れていた。

 私は、韓日の若者たちから次々と新しい事業のアイデアが生まれ出るのを目の当たりにしながら、韓日共同でベンチャー企業を起こすことが十分可能だと確信できた。

 韓日両国の企業文化に差異があることは事実だ。例えば、意思決定の方法である。韓国企業は大半がオーナー経営者によるトップダウン方式だが、日本企業は資本と経営が分離されており、稟議制が中心だ。よって、韓国企業は迅速な意思決定が可能であるが、日本企業は決定に時間をかける傾向がある。

 新規事業に対しては、韓国企業は不況時でも果敢に投資を行うのに比べ、日本企業は慎重な投資姿勢を見せる。

 今回の高校生交流キャンプを通して感じたことは、韓日共同による新たなアイデアの創出とベンチャー企業誕生の可能性であり、若い世代が協力し合えば迅速な意思決定システムをいくらでも構築できるということだ。

 企業はさらにグローバル化されて行き、それに伴ってグローバルな発想とスキルをもった人材が求められてくる。人材は一朝一夕には育たない。語学力や異文化への対応力は若い時期から身につけなければならない。韓日高校生キャンプは、その良い機会であり、非常に意義深い取り組みだと思う。

 またこのキャンプは、単なる交流イベントに止まらなかった。

 初めて出会った異国の友人らと共に、初めて経験する市場調査を行い、新たなプロジェクトを実現させるために夜を徹して語り合う機会を提供したことで、若者たちに夢と希望を与えたといえよう。

 グローバル時代、企業は非常に早いスピードで変化する。米国のIBM社が代表的な事例だ。世界で最初にコンピューターを生産した同社は、有頂天になっていた間にパソコン市場で競争に敗れ去った。その後、IBM社はコンピューター事業から撤退し、コンサルティングを含む総合的なソリューション(問題解決)企業として戦略を転換した。「マッキントッシュ」を開発したアップル社も、現在はアイフォンやアイパッドなどのデジタル機器販売会社へと変わった。

 移り変わる経営環境の中で今回のキャンプは、将来、韓日の経済界をリードして行くであろう若者たちにとって貴重な経験となった。

 米国のジョン・F・ケネディ第35代大統領は、「勝者は雲の上の太陽を見るが、敗者は雲の中の雨を見る」という言葉を残している。学生たちはキャンプでの体験を通して「雲の上の太陽」を見出したはずだ。

 また日本では「継続は力なり」と言うが、韓日の経済協会には、この事業を続けることで両国の共同繁栄に寄与してくれることを望みたい。

 韓国の浦項から船を出すと、海流に乗って日本の島根県の港に流れ着く。韓日両国が、この海流のように常に交わりながら発展していくことを信じてやまない。