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2010/11/12

<トピックス>東北アジア共同体の構築を 朴在圭・慶南大総長が講演~神奈川大学国際シンポで

  • 東北アジア共同体の構築を・朴在圭・慶南大総長が講演~神奈川大学国際シンポで

           朴在圭総長は、東北アジア共同体構築を強調した

 韓国の慶南(キョンナム)大学校極東問題研究所と神奈川大学アジア問題研究所がこのほど神奈川大学で「東アジア地域協力と共同体構想」をテーマにシンポジウムを開いた。元統一部長官の朴在圭・慶南大学校総長が「21世紀における東北アジア時代とは?」と題して行った基調講演の内容(要旨)を紹介する。

 多くの未来学者が展望した「21世紀東北アジアの時代」はすでに9年が過ぎました。しかし東北アジアはいまだに20世紀の暗い記憶から抜け出せないでいるのが実情です。それは歴代の政治指導者に、21世紀の平和と繁栄の東北アジア時代を開くための、過去に対する真摯な反省と未来への協力の意思が足りないということです。

 2008年末に世界経済を強打したニューヨーク発の「グローバル金融危機」は、東北アジアの経済発展における韓国、日本、中国の協力の必要性をはっきりと示しました。日本は経済大国として先進化経済の障害を除去し、長期不況から脱出するための経済的、産業構造的改善に努力しており、中国は1970年代の改革開放政策の成功でまばゆい経済成長を記録し、アメリカとともにG2と呼ばれて、世界秩序の中心を占めるようになりました。

 また韓国は、金融危機を成功裏に克服して、第5回G20(主要20カ国・地域)首脳会議と2012年に開催される第2回核安全保障サミットを誘致するなど、先進国と開発途上国の懸け橋の役割に努力しています。

 世界銀行の2009年統計資料によると、日本のGDP(国内総生産)は5兆675億㌦(国際経済力2位)、中国のGDPは、4兆9093億㌦(同3位)、さらに韓国のGDPは8325億㌦(同15位)です。また日本の一人当たりGNI(国民総所得)は3万7870㌦(2009年統計)、韓国は1万9830㌦、さらに中国は3315㌦です。

 まず南北関係をみると、金正日(キム・ジョンイル)委員長は、韓半島平和共存、北朝鮮の経済難解決、そして成功的な金正恩(キム・ジョンウン)後継者のスタートのために、全世界が望む核放棄をせざるを得なくなるだろうし、李明博大統領も首脳会談を通じてこれまで2年6カ月の間に損なった「信頼」を回復させなくてはならないでしょう。

 また、朝日関係が2002年の水準まで正常化されるためには、何よりも国交正常化会談が開かれなくてはならないでしょう。そして両国が平壌宣言の基本精神に戻らなくてはならないと思います。

 韓日関係は、これからはさらに「近くて近い国」になるよう努力しなくてはなりません。両国に2つお願いしたいことがあります。第1に、次世代がわれわれとは異なるもっとよい韓日の未来を設計できるように、われわれ世代が準備するということです。第2に、歴史問題は学者たちに任せて、両国の政治指導者は論争を呼ぶイシューに関してできるだけ表現を自制し、沈黙する知恵を発揮しなくてはなりません。

 朝中関係では、両国間の関係が良好になればなるほど、東北アジアの平和繁栄共同体の形成に寄与する役割が増すものと思われます。北朝鮮および中国との協力は、韓半島の平和のためにも、東北アジアの平和のためにも必要不可欠なものです。今こそ東北アジア共同体というわれわれの夢に挑戦すべき時です。

 そのためにはまず北朝鮮が核兵器を放棄し、一時も早く改革開放に向かわなくてはなりません。日本は、より積極的な過去清算の努力とともに国力に見合ったより大きなリーダーシップを示すべきです。

 中国もやはりG2に見合う大国としての姿勢と責任感を示すべきです。南北関係も、昨今の緊張や対決を克服して、平和と和解、協力の共存関係へと進展させなくてはなりません。韓中日間の経済交流と協力がさらに増大すべきなのはもちろんです。

 東北アジア共同体形成のための努力は、どんなに強調してもやり過ぎということはありません。いま、われわれが考えられるのは、6者会談を活用した東北アジア協力機構への発展です。6者会談には「東北アジアの安保協力の作業部会」が構成されています。6者会談をスタートに、東北アジア多者協力機構を作り、これを発展させて東北アジア共同体を築いて、いずれ東アジア共同体を目指すことになるでしょう。

 世界大戦を2度も経験した過去のヨーロッパが未来のアジアにならないよう、そして統合へと進んでいる今のヨーロッパがアジアの未来になるよう、われわれは東北アジア共同体を目指して間断ない努力を注がなくてはなりません。


  パク・ジェギュ 1944年慶尚南道馬山生まれ。67年米フェアリーディキンスン大学政治学科卒。69年ニューヨーク市立大学大学院卒(政治学修士)。慶南大学極東問題研究所所長、慶南大学校総長、韓国大学総長協会会長などをへて99年12月、統一部長官に就任。2000年6月の南北頂上会談を成功に導く。現慶南大学校総長。著書に「北韓外交論」「北韓の新外交と生存戦略」など多数。