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2010/12/10

<トピックス>日韓相互交流500万人時代へ

  • 日韓相互交流500万人時代へ

    みぞはた・ひろし 1960年京都府生まれ。東京大学法学部卒。85年自治省(現総務省)入省。90年大分県庁出向。2004年大分フットボールクラブ代表取締役就任。08年大分トリニータがヤマザキナビスコカップ優勝、悲願の日本一達成。10年1月から国土交通省・観光庁長官。

◆多様な観光ニーズに応えたい◆

 日韓を相互往来する観光客が、今年は初の500万人を突破する。ここに至るまでの日韓交流の推移、そして今後の日韓両国の観光・文化交流について、溝畑宏・観光庁長官にお話を伺った。

 ――2年前に発足した観光庁の2代目長官として就任した溝畑長官ですが、自らのカラーをどのように打ち出していきたいとお考えですか。

 今年はジャパン・エンドレス・ディスカバリーという新たなキャッチフレーズ・ロゴを使って、韓国、中国、台湾、香港の4市場での訪日旅行の広告宣伝を重点的に進めている。

 今後21世紀の国際観光市場において成長分野である医療観光やスポーツ観光、食、映画、アニメ、ファッションといった新しい観光のコンテンツをブランド化していくことで、魅力ある日本の観光資源を掘り起こしていきたいと思う。

 ――2005年の日韓交流年から本格的に民間レベルで交流を進めていこうと様々なイベントなどを開き、成果を上げてきました。日韓観光交流活性化に向け、今後どんな日韓協力をお考えですか。

 我々政府があえて交流を強調せずとも既に土台はできていると思う。その上で、最近では映画を共同制作したり、日韓でそれぞれロケ地を提供しあったりするなど、映画を通した交流にも非常に力を入れている。また、スポーツの分野では、野球、サッカーなどで交流があり、それ以外にも食やファッションなど、分野ごとに交流を深めていく作業が必要になると思う。

 ――韓国人が日本に来る場合、最近はスキーやゴルフ、温泉など、単に日本に来るだけでなく、日本ならではのものを楽しもうという観光客が増えていますが。

 医療観光やスポーツ観光など、さまざまな観光のニーズを商品化することが重要だ。

 例えばアジアの中でも雪の質が良く、スキー場のクオリティーも高く、指導者も揃っている日本のスキーを全面的に打ち出して、様々な形で海外からのツアーを造成していこうという動きがある。また、登山やマラソン、トライアスロンといったスポーツ分野でも韓国からの観光客が訪れている。今後、これらの分野を強力にアピールしていきたい。

 ――韓日相互交流500万人時代を迎えました。韓日交流の現状をどうみていますか。

 2007年から2009年の3年間に、470万人前後で推移してきた日韓の相互往来が、今年は日本から約300万人、韓国から約250万人の計約550万人まで増えてきている。それだけ日本と韓国との間の交流が、深まってきていることが分かる。

 私は15年間にわたって日本と韓国を行き来しているが、明らかに変化があったのが、1998年に金大中大統領(当時)がクールコリアを打ち出し、文化とスポーツを観光とつなぎ合わせ、韓国の魅力が非常にバラエティーに富んでいるということを日本人が認識するようになったことだ。特にサッカーW杯日韓共催は非常に大きかったと思う。精神的に一緒に協力してW杯を成功させようということが、国民から見て非常に分かりやすく、パートナーシップを確立することができた。

 お互いに交流していくことで、日本と韓国がアジアを引っ張っていけると思うし、交流が深まれば深まるほど、お互いに力を合わせて出来る分野が増えてくると思う。

 ――羽田空港の国際空港化で、羽田~ソウル便も増え、行き来がさらに便利になりました。今後の韓国人観光客の誘致目標をお聞かせください。

 羽田と金浦、仁川が結ばれることで、特に東京都心へのアクセスが大幅に良くなった。国際線のない日本の地方の人にも、非常にメリットが大きい。

 本年8月に開催された第5回日韓中観光大臣会合において、日韓中3国の交流人口は今年1700万人だが、これを2015年には2600万人をめざすことにした。


 韓国から日本へのインバウンド目標としては、2013年に350万人をめざしたい。訪日外国人旅行者数全体では、2016年に2000万人をめざし、そのうち韓国からは約430万人を見込んでいる。

 ――観光は世界の交流の懸け橋です。観光政策の司令塔として、日韓交流活性化に向けての考えをお聞かせください。

 日本と韓国との交流を1998年から2010年を第一期とすれば、これからは第二期に突入する。更に交流が深く、熱くなっていくと思う。交流に時間をかけるだけ、いろいろと理解し合えるし、結果としてさらなる観光交流の拡大につながっていくと思う。

 観光は、インフルエンザや為替など、さまざまな問題によって影響を受けやすいリスクのある分野だが、この20年間着実に進んできた流れを継続して発展させていくことに限ると思う。