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2012/10/12

<トピックス>韓日通貨スワップ・拡大措置「延長せず」

  • 韓日通貨スワップ・拡大措置「延長せず」

    韓日通貨スワップの拡大措置打ち止めで円の融通枠が縮小

 今月末に期限切れとなる韓国と日本の通貨スワップ(通貨交換)拡大措置が延長されないことになった。延長か否かをめぐって、韓日間で論議を呼んでいたが、結局「延長の必要なし」の結論に達した。韓国側は、外貨準備高が十分にあり、ムーデーズなど3大格付け会社すべてが韓国国債の格付けを引き上げるなど対外健全性が改善していることなどを挙げた。

 韓日両国は9日、企画財政部、韓国銀行、財務省、日本銀行による共同発表で「両国の金融市場が安定し、マクロ経済の状況も健全だとの認識の下、韓日通貨スワップの増額部分の延長は必要がないとの結論に至った」と表明した。

 11日の韓日財務相会議前に発表したのは、会談後に発表すれば関係悪化の印象をもたれかねないことを考慮したからだ。

 韓国は昨年10月の韓日首脳会談で、130億㌦だった日本との通貨スワップの規模を1年間の時限措置で700億㌦に増額することを決めた。一挙に570億㌦増額した。しかし、増額部分の570億㌦は今月末の期限満了で終了し、来月以降は130億㌦に縮小する。

 韓国の金融当局者は、「両国政府と中央銀行は通貨スワップ拡大措置が双方に役立ったと評価している。世界経済の動向を注視し、必要があれば適切な方法で協力する」と述べた。青瓦台(大統領府)高官は、「契約を延長しない方針を決めたのは、関係当局が延長の必要がないと判断したため。外貨準備高が3000億㌦を超え、日本を上回った国債格付けもある。韓日の外交安保分野の問題として見る必要はない」とコメントした。

 韓国の外貨準備高は9月末現在で3220億㌦に達している。

 拡大措置打ち切りとなったが、金融市場への影響はほとんどなかった。

 通貨スワップとは、預金口座の当座貸し越しに例えられ、緊急時に相手国に自国通貨を預けて、相手国通貨やドルを借りる協定で、非常時に使える外貨準備という位置付けだ。

 今回の韓日通貨スワップ延長問題をめぐって、欧州財政危機がスペインにまで拡大する中、拡大措置を中断すれば為替市場に影響を与えかねないと慎重論もあった。増額分のうち、300億㌦は韓国銀行と財務省の契約であり、270億㌦は韓国銀行と日本銀行の契約分だ。日本銀行との契約分だけ継続する折衷案も検討されが、最終的に終了を決めた。

 崔鍾球(チェ・ジョング)・企画財政部次官補は「純粋に経済的観点から決めたことだ。我々からの延長要請を日本が拒否したわけではなく、我々が要請そのものをしなかった」と述べた。日本側も「純粋に経済、金融面の状況認識に基づいたもので、政治的なものではない」(城島光力財務相)と歩調を合わせている。しかし、拡大措置を延長しなかったのは、東アジア通貨協力に逆行するものだとの指摘もある。

 残りの130億㌦については、30億㌦が来年7月に、チェンマイ・イニシアチブに基づく100億㌦は15年2月にそれぞれ満期が到来する。来年に延長か否かを検討することになる。もっとも両国の経済的結びつきは強く、今後必要があれば適切に対応していくことでは合意をみている。