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2013/04/19

<トピックス>「新しい成長公式」を 

  • 「新しい成長公式」を

    韓国は製造業が成長を支えているが…(半導体製造ライン)

 世界的なコンサルティング企業であるマッキンゼーが突然「韓国経済は成長動力を喪失し、中産層の半分以上が赤字家計の貧困中産層に転落した」と警告を発した報告書を発表した。経済成長率が下がり続け個人負債は毎年悪化しているが、自分は死に向かっているという事実を知らずにいるという診断まで付け加えた。

 「新しい成長公式」と題する今回のマッキンゼーの韓国報告書は、1998年の通貨危機当時発表した「韓国再創造」以来15年ぶりに韓国経済を診断し、新たな成長のための提案を行っている。

 報告書によれば、90年以降、20年間に渡り韓国経済の家計所得を分析した結果、中産層の比率が75・4%から67・5%に低下し、このうち毎月収入より支出が多い赤字家計は15%から25%に拡大。貸出元金返済まで含めた赤字家計は55%に達する。報告書はこれを「貧困中産層」と規定し、彼らは短期間内に低所得層に転落する可能性が高いと予測した。

 韓国経済は通貨危機以降、大企業の生産性が拡大し、世界市場に進出する成果を挙げたが、大企業の国内雇用は低下し、新たな成長動力にならなければならない中小企業はむしろ生産性が落ち込み、大企業の27%にすぎない。これはドイツの62%の半分以下だ。

 半面、雇用を吸収できるサービス部門は、大部分が低付加価値産業中心で、雇用を求める機会を失い、仕方なく創業する事例が蔓延していると分析した。

 報告書によれば、95~2010年に国内製造部門で大企業の生産性が9・3%上昇した。製造業部門の海外生産比率は95年の6・7%から16・7%に高まった。これにより、大企業が国内の雇用創出に占める比率は18%から12%に下落した。

 同時に立ち遅れたサービス産業と零細な中小企業が高賃金の雇用創出に失敗し、「雇用なき成長を招いた」と指摘した。

 報告書によれば、約300万社の韓国企業の99・9%が中小企業だ。このうちの96%が従業員50人以下の零細企業で占められる。賃金が低く、零細な中小企業が国内雇用に占める比率は88%に達する。結局、中小企業とサービス産業に対する雇用依存度は毎年高まっているが、賃金は製造業中心の大企業の半分にもならず、家計所得が減る悪循環を繰り返している。

 韓国の失業率は世界的に低い水準であるかのようにみえるが、統計に捕捉されない不完全就業者をすべて合わせれば失業率は11%に肉薄すると警告した。

 報告書は、韓国経済を支えてきた成長モデルがこれ以上有効でないと指摘。新たな成長公式が必要だと訴え、成長のための提案を行っている。

 まず、中産層の没落を防ぐため、政府が直接乗り出して、住宅担保貸出を短期(10年以内)償還の変動金利中心から長期固定金利に転換するなどの不動産対策が必要だとしている。

 中小企業活性化のためには、イスラエルの国営ベンチャーキャピタルのヨズマファンドやシンガポールの国営投資基金を韓国でも作り、政府が優秀な中小企業に直接投資することを勧奨。女性が職場復帰できるように、オランダのようなパートタイム活性化を提案した。

 サービス産業育成のためには、医療・観光・金融などのサービス産業を国家次元で支援すべきと主張している。また、大学進学を減らし、マイスター高校を増やすべきだと強調した。

 マッキンゼー報告には一部議論の余地があるが、成長のパターンを変えなければならないのは間違いない。特に、貧しい中産層の増加を指摘し、韓国を温められる水の中のカエルに例えたことは傾聴に値する。

 この「カエル論」は、カエルをお湯に入れればすぐに飛び出して生き残るが、冷たい水に入れて徐々に水を温めれば水が熱くなることに気付かず、結局死ぬことになるというもので、気づくのが遅れれば致命傷になるという教訓だ。韓国経済は転換期にあることを深く認識し、早急に対応策を講じることが求められている。