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2015/07/10

<トピックス>明治期外交官・若松兎三郎と韓国:共生のための苦悩 第13回                                   大東文化大学 永野 慎一郎 名誉教授

◆朝鮮半島全域に綿花栽培が普及、綿業発展が紡績業勃興の契機に◆

 陸地綿は朝鮮半島全地域に普及した。その結果、綿作農家が急増し、綿花の栽培面積が拡張され生産量が急増。1912年の全国の陸地綿作農家7万8000世帯から1935年には86万世帯へと11倍に増加した。当時、在来綿耕作農家も29万世帯あった。陸地綿耕作農家と在来綿耕作農家を合わせると、綿作農家は115万世帯であった。当時の畑耕作農家270万世帯のうち、42%が綿作を営んでいた。綿作が米、麦に次ぐ主要農産物の一つとなった。

 陸地綿栽培奨励政策が功を奏し、陸地綿栽培農家が増加すると共に綿花の生産量が拡大した。従来韓国の農家は、自家用として自給自足の範囲において必要な綿花を耕作していた。しかし、陸地綿の普及と共に生産手段及び品質の改良によって、綿花の商品価値が認識されるようになり、綿作が農家の有力な収入源となった。このような経済的な要因によって綿作農家が増加した。


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