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2016/05/13

<トピックス>韓国労働社会の二極化 第11回 韓国の若者雇用②「若年失業率」                                                    駿河台大学 法学部 朴 昌明 教授

  • 駿河台大学 法学部 朴 昌明 教授

    パク・チャンミョン 1972年兵庫県姫路市生まれ。関西学院大学商学部卒。関西学院大学大学院商学研究科博士課程前期課程修了。延世大学大学院経済学科博士課程修了。現在、駿河台大学法学部教授。専攻分野は社会政策・労働経済論・労務管理論。主な著作に「韓国の企業社会と労使関係」など。

  • 韓国労働社会の二極化 第11回 韓国の若者雇用②「若年失業率」

◆男性失業率が20代後半も10%超◆

 前回のコラムでは、通貨危機以降の韓国における若者世代が「88万㌆世代」、「三放世代」など雇用不安を背景にしたネーミングが行われるほど、若者の失業が社会問題化し、今年の2月には若年失業率が通貨危機以降最高値を記録するほど深刻な状況に陥っていることについて紹介した。では、韓国における若者の失業は日本に比べるとどれほど深刻な水準であろうか?

 今回のコラムでは、OECDの統計資料を用いて2014年時点の若年失業率について韓国・日本・米国で比較を行いながら、韓国における若者の失業の特徴について検討していく。

 図表上の男性の若年失業率から見てみよう。まず韓国と日本を比較すると、グラフ内の折れ線が低い山のような模様になっている点で類似しているが、どの年齢層においても韓国(10~11%台)が日本(5~7%台)よりも4㌽ほど失業率が高いことがわかる。

 次に韓国と米国を比較すると、15~19歳の失業率については、韓国は10・2%であり、米国(21・4%)に比べると著しく低い水準である。ところが20~24歳の失業率は、米国が12・2%へと急速に低下する一方で韓国は11・4%と上昇するため、米韓の失業率の差は0・8㌽にまで縮まっている。さらに25~29歳の失業率では、米国(7・4%)が大幅に低くなる一方で韓国(10・1%)はわずかな低下に止まっているため、米韓の失業率が逆転し、韓国が米国よりも高くなっている。

 他方、女性の若年失業率(図表下)については男性の若年失業率に見られる特徴と相違する点も一部見られる。

 まず韓国と日本を比較すると、日韓ともにグラフ内の折れ線が低い山のような模様になっており、どの年齢層においても失業率は韓国が日本より高い。

 ただし、韓国では25~29歳の失業率が20~24歳の失業率よりも3㌽低くなっているため、韓日両国の20代後半の失業率はそれより若い年齢層の失業率よりは差が小さくなっている。韓国と米国を比較すると、15~19歳の失業率において韓国(8・4%)が米国(17・7%)よりも大幅に低い水準にあり、20~24歳の失業率では米国(10・1%)が急速に低下するのに対し韓国(9・3%)はわずかに上昇しているため韓米の失業率の差が大幅に縮小している。そして25~29歳の失業率は、韓国が3㌽下がっており、韓・米の失業率の低下幅が類似しているため、米国(6・8%)が韓国(6・3%)をわずかに上回っている。

 以上、男女別に韓国・日本・米国の若年失業率について比較してきた。さらに、男女比較を念頭において国際比較を行うと以下のような特徴が見られる。


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