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2016/06/10

<トピックス>明治期外交官・若松兎三郎と韓国:共生のための苦悩 第25回                                   大東文化大学 永野 慎一郎 名誉教授

◆日露戦争目前に若松領事ら奔走、朝鮮半島西南海岸に電信取扱所◆

 満州および朝鮮の支配権をめぐる日露間の外交交渉は進展せず、危機が益々切迫する状況であった。もはや戦争突入が不可能と判断した日本海軍はロシアとの一戦を交えるために本格的な準備に着手した。

 日露戦争を勝利に導き、国民的英雄として評価されている東郷平八郎に関する書籍は数多く出版されている。しかし、東郷平八郎が連合艦隊司令長官に任命され、戦争遂行に当たり、朝鮮半島西南海岸に位置する八口浦の玉島を仮根拠地とし、秘密裏に電信取扱所および気象観測所を設置し、防備隊を駐屯させるなど、重要な戦略拠点としたことはほとんど知られていない。


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