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2018/04/06

<トピックス>韓国労働社会の二極化 第34回 長時間労働⑥「勤労基準法改定(前編)」                                                   駿河台大学 法学部 朴 昌明 教授

  • 駿河台大学 法学部 朴 昌明 教授

    パク・チャンミョン 1972年兵庫県姫路市生まれ。関西学院大学商学部卒。関西学院大学大学院商学研究科博士課程前期課程修了。延世大学大学院経済学科博士課程修了。現在、駿河台大学法学部教授。専攻分野は社会政策・労働経済論・労務管理論。主な著作に「韓国の企業社会と労使関係」など。

◆労働時間の特殊業種制度、完全廃止を◆

 環境労働委員会が労働時間短縮を骨子とする勤労基準法改定案を2018年2月27日に合意し、28日に国会本会議にて改定案を通過させた。

 2013年に労働時間短縮をめぐる法改定の論議が開始されてから、5年の歳月を経たことになる。

 今回と次回のコラムで、労働時間短縮に関わる勤労基準法改定のポイントについて解説する。今回は、最長週労働時間の短縮と特例対象業種の縮小を中心に検討する。

①週最大労働時間の短縮

 現行の勤労基準法では法定労働時間が週40時間、労使合意による週12時間までの延長労働が規定されており、合算すると週最大労働時間は52時間になる。

 しかし雇用労働部は、週休2日制による法定休日を勤労基準法で規定される「1週」から除外し、土日の休日労働(16時間)を「1週」の延長労働とは異なる概念として解釈したため、事実上認められていた週最大労働時間は68時間であった。

 今回の改定では、休日を含む7日を「1週」とすると条文に明記することによって、最長週労働時間が52時間(法定40時間+延長12時間)に短縮される。

 韓国の労働時間はOECD加盟国のなかで最長水準にある。週最大労働時間を52時間と明確に定めることで、長時間労働是正の効果が期待される。

 その効果を実現させていくためには、労働時間の正確な記録を義務づけるよう勤労基準法を改定するとともに、雇用労働部による監督機能を強化し、労働時間の未記録・虚偽報告やサービス残業を行った企業に対する処分を厳しくすることなどが求められる。

 一方、時期によって発注量が著しく変動する産業では、労働時間短縮に伴う人手不足の深化によって、発注量が多い時期の営業が困難になる危険が高まる。

 そのため、韓国経営者総協会は弾力的労働時間制の単位期間の拡大や適用要件の緩和、産業安全や特別な非常事態に対処するための特別延長労働制度の新設などを要求している(韓国経営者総協会、2018年2月27日報道資料)。

 これらの制度は労働時間短縮やワークシェアリングの効果を弱める危険性があるが、各産業の特殊事情を考慮しながら労働時間の柔軟性を確保することも今後の検討課題といえよう。

②週最大52時間労働の施行時期を区分

 週最大52時間労働は事業所規模別で段階的に施行される。

 従業員300人以上の事業所では今年7月1日から、従業員50~299人の事業所では2020年1月1日、従業員5~49人の事業所では2021年7月1日から適用される。また、従業員30人未満の事業所では2022年12月31日まで労使の書面合意によって延長労働をさらに8時間追加できる。

 雇用労働部の「雇用形態別勤労実態調査」によると、2016年時点の正規労働者の月総労働時間は、従業員300人未満の事業所(185・1時間)が従業員300人以上(182・5時間)の事業所を上回る。大企業と中小企業で労働時間短縮の施行時期を区分すると、労働時間の格差が拡大することが懸念される。

 しかし、中小企業でも年内に労働時間を短縮させると、人手不足の更なる悪化と最低賃金引き上げによる人件費の上昇によって経営難が加速化する恐れがある。

 したがって、


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