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2019/03/29

<トピックス>私の日韓経済比較論 第87回 合計特殊出生率0・98                                                  大東文化大学 高安 雄一 教授

  • 大東文化大学 高安 雄一 教授

    たかやす・ゆういち 1966年広島県生まれ。大東文化大学経済学部社会経済学科教授。90年一橋大学商学部卒、同年経済企画庁入庁、00年在大韓民国日本国大使館二等書記官、00~02年同一等書記官。内閣府男女共同参画局などを経て、07~10年筑波大学システム情報工学研究科准教授。

◆上昇に転ずる環境になく、低下傾向続く◆

 2月28日、韓国経済の将来を揺るがす衝撃的な統計が公表された。韓国の合計特殊出生率(以下、「出生率」)が「0・98」と1を割ってしまったのである。出生率は2005年に1・09にまで落ち込んだ後、12年には1・30に回復した。しかしその後は再び下落基調となり17年は1・05にまで低下し、18年には1を割る事態に至った。

 出生率に関しては人口置き換え水準が重要である。人口置き換え水準とは、人口が将来にわたって増えも減りもしないで、親の世代と同数で置き換わるための出生率の水準を表す指標であり、韓国では2・1である。韓国では1983年以降、出生率が置き換え水準を下回っており、今回は切りのいい数字を下回ったといった意味しかないが、心理的にはインパクトのある数値である。

 今回の出生率の下落は、女性で1000人当たりの出生数が最も多い年齢層である30~34歳において、数値が17年の97・7人から18年は91・4人に大きく低下したことが大きく、25~29歳でも47・9人から41・0人に低下した。35~39歳は47・2人から46・1人と大きな変化がなかったことを考えると、出生率の下落の原因は、20歳代後半から30歳代前半にかけての年齢層が産む子の数が減ったことといえるだろう。

 20歳代前半の1000人当たり出生数を見ると08年から半分になっている。これは晩婚化が大きな原因と考えられる。女性の平均初婚年齢は、08年の28・3歳から18年には30・4歳に高まっている。結婚した後、出産するという順序を考えれば晩婚化によって、20歳代後半と30歳代前半が産む子の数が減少するのは当然といえる。

 さて出生率を地域別に見ると、特別市および広域市の出生率の低下が目立つ。ソウル市では08年の出生率が1・01とかろうじて1を超えていたが、18年には0・76にまで低下した。釜山市は08年にはすでに1を割っており、18年は0・90である。大邱市、光州市、大田市は08年には1を上回っていたが、18年に初めて1を下回ることになった。18年において特別市および広域市で出生率が1を超えているところは、仁川市と蔚山市のみである。

 一方、道を見ると出生率が1を切っているところはない。しかし出生率が低下傾向にあることには変わりがない。08年から18年までの出生率の低下幅を見ると、


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