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2021/05/28

<トピックス>私の日韓経済比較論 第106回 1~3月期GDP                                                   大東文化大学 高安 雄一 教授

  • 私の日韓経済比較論 第106回 1~3月期GDP                                                    大東文化大学 高安 雄一 教授

    たかやす・ゆういち 1966年広島県生まれ。大東文化大学経済学部社会経済学科教授。90年一橋大学商学部卒、同年経済企画庁入庁、2000年在大韓民国日本国大使館二等書記官、00~02年同一等書記官。内閣府男女共同参画局などを経て、07~10年筑波大学システム情報工学研究科准教授

◆半導体輸出好調でコロナ以前の水準回復◆

 韓国は2021年1~3月期にGDP(国内総生産)がコロナ以前の水準を回復したが、需要項目別にみると回復の度合いに差がみられる。まずは需要の半分以上を占める民間消費を見てみよう。民間消費はコロナ禍前の19年10~12月を100とした場合の21年1~3月の水準(以下、同じ)が94.5に過ぎない。よってコロナ禍からの回復はまだ遠い状況である。コロナ禍の影響は外出制限などによるレジャー消費の低迷や外食消費の低迷といった形で直接的に出ている。また、雇用に対する不安や所得の伸びの低下による間接的な影響も残っている。

 需要項目の半分以上を占める民間消費が未だに大きく落ち込んでいるなか、GDP全体がコロナ禍以前に戻っているということは、他の需要項目がカバーしたということを意味している。GDPの回復に寄与した需要項目は何であろうか。まずは輸出である。輸出は21年1~3月には103.1にまで回復している。主力の輸出製品である半導体がコロナ禍の下でも世界的に需要が伸びていることもあり、輸出が下支えられてきた。


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