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2022/02/11

<トピックス>切手に見るソウルと韓国 第134回 中国の朝鮮族                                 郵便学者 内藤 陽介 氏

  • 切手に見るソウルと韓国 第134回 中国の朝鮮族                                  郵便学者 内藤 陽介 氏

    ないとう・ようすけ 1967年、東京都生まれ。東京大学文学部卒業。日本文芸家協会会員、フジインターナショナルミント株式会社・顧問。切手等の郵便資料から国家や地域のあり方を読み解く「郵便学」を研究

  • 切手に見るソウルと韓国 第134回 中国の朝鮮族                                  郵便学者 内藤 陽介 氏

    延辺朝鮮族自治区の成立60周年を記念して発行された韓服姿の女性の切手(12年)

 今月4日に開かれた北京冬季五輪開会式で、中国の55の少数民族のひとつである朝鮮族を代表して、韓服を着た公演者が登場したところ、韓国では一部のネチズンらが「中国は五輪を契機に韓服の起源が中国であることを主張している」と批判しているそうだ。

 歴史的に見ると、韓服は北方アジアの遊牧民が着ていた〝胡服〟が朝鮮半島に伝わって土着化したもので、特に、元朝時代にモンゴル文化の影響を強く受けてオッコルム(服の結び紐)が作られるようになり、朝鮮王朝時代に現在の様式が定着したと考えられている。

 したがって、韓服の起源が中国大陸にあることは事実だが、いわゆる漢人の生活習慣に根差したものではないから、中国政府が韓服の起源が中国にあると主張するとは考えにくい。

 もともと、朝鮮と満洲の間には人間の往来が少なからずあり、清朝の初期には、多くの朝鮮人が満州族の八旗組織に取り組まれ、朝鮮系の高級官僚・地方役人もかなりの数に上った。


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