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2001/12/07

<鳳仙花>◆東京に誕生した高麗博物館◆

 日本人や在日韓国人が協力し、市民の手で「高麗博物館」をつくろうという草の根運動がようやく実を結び、あす8日、東京・新宿にオープンする。「韓国広場」を営む金根煕さんが持ちビルの一部スペースを提供したいと申し出て実現した。

 同運動は、90年に在日朝鮮人の書画家、申英愛さんが朝日新聞に投稿し、「日本政府は植民地時代に韓半島から略奪した文化財を一堂に集めて展示できる博物館を建設してほしい」と訴えたのがきっかけだ。

 この記事を読んだ日本人の有志らが「高麗博物館をつくる会」(代表=東海林勤・稲城教会牧師)を結成、韓日の相互理解と真の友好関係を築くには、過去の正しい歴史を知ることが必要だとして、各地でセミナーや歴史資料の展示会を開いてきた。「自分たちのルーツをきちんと伝えたい」と在日の賛同者も加わり、運動を盛り上げようとしたが、なかなか進展せず、自治体などに協力を求めても「素人が博物館をつくるなんてむちゃだ」と相手にされなかった。

 資金もなく、専属スタッフもいない中で、11年もの間活動を続けてきたメンバーの苦労はいかばかりであったろう。会の発足当初から運動にかかわってきた最高齢の坂本尚さん(75)は、「先が見えなかったが、ようやく出発点に立てた」と喜びを語る。これまで会を支えてきた在日や日本人のボランティアに敬意を表したい。メンバーは当初の30人余りから現在約550人に増えた。

 高麗博物館は、高句麗の僧・慧慈など韓日交流に尽くした人物をパネルで紹介するほか、韓国の国宝「三国時代の金冠」のレプリカも展示する。同博物館が新たな韓日交流の場になることを期待したい。問い合わせは03・5272・3510。(N)