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2002/02/08

<鳳仙花>◆サムルノリ20年◆

 韓国の伝統音楽集団「サムルノリ」が日本デビューして今年で20年になる。1982年6月末、当時、東京・池袋にあった韓国文化院で初めて演奏を披露、その力強さが観衆をあっと驚かせた。その年の11月、東京・中野坂上のコンサートでは200人の会場に400人が詰めかけ異様な熱気に溢れていた。

 このサムリノリ公演は韓国大衆音楽に触れる最初の大きなインパクトだった。サムルノリとは、4人の若者が農楽など民俗楽をベースに新しい試みとして1978年に結成したパーカッション・アンサンブル・グループ。韓国の伝統的な打楽器であるチャンゴ(杖鼓)、プク(鼓)、金属製のケンガリ(小金)、チン(大金)の4種が織り成す力強いサウンドと過激な踊りが世界中に大きな衝撃を与え、80年代に「東洋の鼓動」として世界各地で熱狂的に迎えられた。

 彼らの最大の特徴は世界を飛び回り数多くの公演をこなすことだ。日本でも年30回近くこなす年もあった。熱烈なファン層が広がり、特にルーツ探しをしていた在日の若い世代の感覚にぴったりあい、チャンゴブームになったりした。グループ結成も相次ぎ、現在100近くにのぼるといわれ、サムルノリはもはや普通名詞になった。

 なにがそんなにも魅力なのだろうか。もう絶版になった「サムルノリ宣言」でリーダーの金徳洙氏は、「リズムはメロディーを持っているし、人間の感情まで表現しているが、魂をこめて叩けるまでになるには大変な努力がいる。そこまで音楽を理解するには、精神的なことも学ばないといけない」と述べている。

 今年は「韓日国民交流年」だが、これを機会に韓日両国の伝統音楽集団のような大衆文化交流の先導役をたくさん生み出したいものだ。(S)